こんにちは、税理士法人YFPクレア 越尾です。

今年も年末調整ラッシュがやってきました!
いやぁ…もぅね。
年末調整せずに営業でとってくるばかりの営業部としては
「みんながんばれ!」と応援するしかない状態です。

もちろん、月末なので、12月申告もすぐそこまで迫っております。

がんばれいうな!がんばってんねん!という飲み屋が昔大阪にありましたが、
おそらく頑張ってるスタッフの気持ちはそういう感じでしょう。がんばってー(笑)

というわけで、「年末調整まだかなぁ」と思って待っていらっしゃる方、もう少々お待ちください。
年末調整ですが、サラリーマンやってた時は「年末にもらえるお小遣い!」と思って
「きゃっほ~~い♪結構もらえた!」というテンションでもらっていましたが、
そのたびに事務のおばちゃんから「これは本来だったらもっと前にもらっていたはずのお金なのよ」と言われたのですが、ぴんと来ず。
税理士法人YFPクレアに勤めるようになって、「あれは本当はお小遣いではなかった!」とよくわかったのでありました。知らないままでしたら今もきっと「Wボーナス!^^」といって喜んでいたでしょうね。えぇ。

では、そんな「Wボーナスではなかった!」と気付いた越尾が
年末調整とは…というのをできる限りわかりやすく説明するチャレンジをしてみましょう.

まず、話はお給料にさかのぼります。

図 サラリーマンの年末調整

よくお給料のお話をするときは「額面」と「手取り」というお話が出てくるかと思います。
(図の一番左、総額を計算の部分で、緑の部分が手取り、オレンジ+灰色+緑を額面といいます)

◎◎株式会社の求人募集で 月給25万円(残業代含む)とか。
この場合は額面は25万円ですが。実際に手取りになると21万円くらいになるかと思われます。
21万円(図の緑の部分)が手取りといわれるものですね。ではこの差額の4万円が何なのかというところです。
この4万円の中身は、社会保険料+所得税の源泉徴収(+住民税の特別徴収)といったところです。
所得税の源泉徴収というのは、
「サラリーマン一人一人が税務署に来て確定申告したら税務署パニックになるから、会社が代りに所得税集めて預かっておいて、みんなの分まとめて納税してねー」という制度です。

※図には住民税の天引きは記入していません。年末調整の計算には関係がなく、ややこしくなるので。

この毎月預かるときに、実際よりちょっとずつ多めに預かることになります。
ちょっと多くなる理由は、実際には【控除】があるから。
次は、控除について掘り下げましょう。

給与所得控除とは

給与所得控除とは、簡単にいうと「サラリーマンであっても、働くために必要な経費はあるよね?その分を控除してあげるよ!」というもの。
個人事業主であれば、仕事に用いる文房具やら何やらは全部経費になりますが、サラリーマンは経費にはできません。

現在は55~195万円控除がされています。
頻繁に変わるので注意が必要です。

所得控除について

控除は、大きくわけて2つあります。【所得控除】【税額控除】です。

【所得控除】には基礎控除や扶養控除、生命保険料控除、地震保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、社会保険料控除、障害者控除、ひとり親控除、寡婦控除、勤労学生控除があります。

しかし、給与の計算のときは控除については、結果(12/31時点で見る)が出ていないため計算はしません。

税額控除

税額控除には、寄附金控除(ふるさと納税)、雑損控除、医療費控除、住宅ローン控除が含まれます。

このうち、年末調整で控除できるのは住宅ローン控除の2年目以降のみです。
寄付金控除、雑損控除、医療費控除、住宅ローン控除1年目は確定申告が必要です。
(ふるさと納税はワンストップ特例も利用可能です。その場合は、確定申告不要です)

年末調整の数式のまとめ

数式はこちら

総額-給与所得控除=給与所得

給与所得-所得控除(詳細は上記)=課税所得

課税所得✕税率=税額

税額-税額控除=所得税額 ←これが払う税金です!!

所得税率-天引きされた所得税額=納税額 or 還付額

という式になります。

これを源泉徴収票にかかれている言葉で書くと下記の通りになります。

源泉徴収票で使われる用語で書きますと・・・

支払金額 → 総額
給与所得控除後の金額 → 総額-給与所得控除を引いた部分のみ(図でいうと、課税所得+所得控除)
所得控除の額の合計額 → }所得控除 の部分
源泉徴収税額 → 所得税額

となります。
この機会にぜひ、1年間で所得税をどのくらい支払ったのか、確認してみましょう!

年末調整をする理由

お金をもらっていたのは、単に多くとっていた所得税を返してもらっただけ。
会社のワルい先輩が「こしおーこれはWボーナスだ!飲みに行くぞ!」というから若い私は「そうなんですか~?」と真に受けちゃってたワケで(笑)
でも、なんで年末調整をするのでしょうか?

給料の計算のときに計算すれば良くない?とか思いますよね。
でも、それができないんです。
なぜなら、所得控除の諸々の控除たちは
「12/31時点の情報を下におこなうから、給与計算の段階では分からないことだらけでしょ!」ということです。

配偶者や扶養親族(ただし、0~15歳は扶養親族に含みません。この期間は扶養控除はありません!)がいるかの状況や、
1年間の生命保険料、社会保険料…などなど12月末までの合計額で計算を行います。
もちろん、12月に支払われるボーナスから天引きされた社会保険料も年末調整の社会保険料控除の対象になりますからね。
それらが終わってから、年末調整となります。

年末調整のメリットとデメリット

サラリーマンにとっても、年末調整にはメリットがあります。
わざわざ3月の忙しい時期に、超絶混んでいる税務署に行って貴重な休日を確定申告のためにつぶす必要がなくなるわけです。
年末調整があるから、会社以外の収入がない人は確定申告はする必要はなく、
年末調整だけで1年間の所得税の計算が終わるわけです。

一方で、デメリットとして、年末調整は家族情報や保険会社から届いた書類を書くだけで終わってしまうので
税金について全く理解できないことかもしれません。
源泉徴収票を見ても
ご自身の所得税・住民税(ついでに社会保険料)が、おいくらだったか、知ってるサラリーマンは一体この世の何%でしょうか?

実は、もう10年以上前から、0~15歳の子どもの扶養控除はない…ということは未だに知らない人が多くいらっしゃいます。

また、サラリーマンをずっとしていた人が個人事業主になった場合、確定申告で納税額と聞くと
「えぇ!?そんなに納税しなきゃいけないんですか!?いやです!」という方も多いです。
う~ん…心中お察ししますが、実は、それ位はサラリーマンのときでも実はひかれていたんですよ。

と、上記の説明するとご納得頂けます。

毎月ひかれていると特に気にならないものかもしれませんが、
ある月にどかっと支払う…となると心がググッとギョギョっとなってしまうんですよね。

【小話】サラリーマンの特権!給与所得控除

「個人事業主は経費とかちょろまかして税金払ってないのに、サラリーマンは節税できなくてひどい!」という意見をたまに聞きます。

経費とは、仕事に直結する支出を指す言葉で、ちょろまかしていいものではないのですが、一旦そこは置いておいて…
サラリーマンには給与所得控除がある…というのを知っていただければと思います。

先ほども述べた通り、サラリーマンの皆さんも仕事するためには経費ありますよね?
例えば、ノートや手帳、ボールペンなどの備品も購入するでしょう。人によっては勉強の為に本読んだり、学校に通う人もいるでしょう。
そして、それは当たり前のように給料から出していますよね?

個人事業主ならば、それらは全部経費になるものです。
ならば、サラリーマンもそれを考慮して「多分、ざっくりだけど、このぐらいの年収の人なら、このぐらいは仕事の為に使うよね~」的に控除をしてくれます。

個人事業主ならば、領収書がないと経費にはなりませんが、給与所得控除は領収書の必要なし!
もちろん、給与所得控除の額以上に仕事の為にお金使ったんだけど!という方もいるかと思いますが、
領収書もなく、実際に使っていなくても、控除されるのって給与所得控除だけなんです。

サラリーマンの6割はリスキリング(勉強して、スキルをつけたり、資格試験などに挑戦すること)をせず、年間1冊も本を読まないと言われています。
実際、サラリーマンが使っている仕事のための経費ってスーツなどの被服とカバンくらいの人も多いと思います。
ですが、スーツなどの被服は個人事業主では経費にすることはできません。
それなのに、年間55万円~控除してもらえるってすごいありがたい控除なんです。

似たような控除に人的控除がありますが、「生きるうえで最低限必要な金額については課税しないですよ!」というもの。
基礎控除の場合、48万円控除されます。
ですが、現在において、年間48万円で生きていけるのは、【持ち家に在住+ローン無し】で、食費、水道光熱費等々を月額4万円で生活できる人だけです。
なかなか希少な人だと思います。多くの人は48万円では最低限の生活はできないでしょう。
もしかしたら自給自足ができる方は可能かもしれません。

そんなわけで、給与所得控除があるのはありがたいと思っています。

今後の控除の流れについて

税制改正大綱というものが毎年12月15日前後にニュースを騒がせるのはご存知でしょうか?
ざっくり言えば「今後、税制はこう変えていきますよ!」という予告編のようなものです。
それによると、人的控除がどんどん無くなっていきます。

現在、0~15歳の子供は扶養控除がありません。
今後、高校生の扶養控除も減らされる予定になっています。(税制改正大綱に記載されています)
配偶者控除も基礎控除も一部の方にはすでにありません。

「自分は関係ないよね?」「あって当然!」と思っていても、あっという間に取られていくのが人的控除です。
増税が嫌だ!これ以上税金払いたくない!という方は、注意深くうごきを見ておきましょう。
パブリックコメントなどの件数が多くなると、改正を行わなかったケースも存在します。

まとめ

今回は年末調整についてを語りました。

還付されて大喜びのそこのアナタ!

それはアナタがもっと前からコツコツと稼いできて、納税しすぎたお金が返ってきただけです!

浮かれて使いすぎないように気をつけましょう!

(お金は良い使い方しましょうね~)

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