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2017年税制改正大綱
目次
生産性向上設備投資促進税制が中小企業経営強化税制に生まれ変わります
2017年3月末で終わる「生産性向上設備投資促進税制」は「中小企業経営強化税制」として改組されることになります。
生産性向上設備投資促進税制とは
質の高い設備投資の促進によって事業者の生産性向上を図り、太陽光パネルなどの「先端設備」や「生産ラインやオペレーションの改善に資する設備」を導入する際の税制措置です。
対象設備の改正内容
【改正前】
最新設備、または、利益改善のための設備
(詳細は上記リンクよりご覧ください)
【改正後】
全ての器具備品を対象としたうえで、一定の生産性向上が見込める設備
控除等について
上記設備の取得価格の特別償却 または 10%の税額控除(資本金3000万円以上の事業者は7%)
※期間は2017年4月~2019年3月まで
経営力向上計画の作成が必要に
改正内容として、経営力向上計画の作成、認定を受ける必要があります。
>>>生産性向上設備投資促進税制(中小企業経営強化税制)はこちら
固定資産税の設備投資減税
2016年7月にスタートした機械装置の固定資産税半減特例が都市部以外で対象設備を拡大されます。
機械装置の固定資産税半減特例とは
3~5年の中長期的な経営力向上計画を策定した上で、生産性が向上する機械装置を取得したときに、その固定資産税を3年間半額にするものです。
>>>機械装置の固定資産税半減特例(経営力向上計画)はこちら
改定内容
【改正前】
単品160万円以上の機械装置のみが対象
【改定後】
単品60万円以上の建物付属設備、単品30万以上の即手工具、検査工具、器具備品が対象に追加
※対象エリア限定(下記エリアは対象外 一部例外あり)
東京、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、京都
※上記一部例外について
上記の7都道府県のうち、労働生産性が全国平均未満の業種でのみ減税の対象が拡大されます。
所得拡大促進税制 2%賃上げで法人税を22%軽減
賃上げした企業の法人税負担を軽くする「所得拡大促進税制」について中小企業が2%以上賃上げしたときは減税幅を最大22%に拡大されます。
【改正前】
・ 給与支給総額が2012年度から3%増加
・ 給与支給総額が前年度以上
・ 従業員1人当たりの平均給与が前年度以上
この3要件を満たす企業は賃上げ総額の10%を法人税額から税額控除ができます
(上限は法人税額の20%)
【改正後】
・ 賃金が前年度比2%以上
この要件を満たす中小企業を対象に賃上げ総額の最大22%を法人税額から差し引けます。
研究開発税制
企業の技術研究への投資に税優遇を認める「研究開発税制」では制度に大幅な変更があります。
【改正前】
減税対象が新製品の製造や技術の改良に限定
【改正後】
サービス開発が新たに追加
(人工知能やビッグデータを活用したサービスの生産性向上なども該当します)
配偶者控除150万円に 所得1220万円超えで控除ゼロに
2017年度の税制改正で最も注目された配偶者控除の見直しでは、以前から女性の就労進出を阻んでいると言われた「103万円の壁」の引き上げとその税収減に伴う代替財源としての所得制限の導入で決着しました。
配偶者控除
【改正前】
妻(夫)の収入が103万円以下ならば、夫が38万円の所得控除を受けられる。
103万円を超えても141万円までは段階的に配偶者特別控除を受けられる。
【改正後】
103万円が150万円に変更
150万円を超えても201万円までは段階的に配偶者特別控除を受けられる。
高所得者の控除について
【改正前】
一律 38万円の配偶者控除
【改定後】
本人の所得が1120万円超えると、配偶者控除は26万円に縮小
本人の所得が1170万円超えると、配偶者控除は13万円に縮小
本人の所得が1220万円超えると、配偶者控除の適用はゼロ
自社株対策
相続税対策で重要な自社株評価のルールが改定されます。
特定の時期に大きな損失を計上して評価額をおさえる節税対策に対応するためです。
【改定前】
自社株評価をする方法のうち類似業種比準方式では、
配当 : 利益 : 純資産 =1:3:1
【改定後】
配当 : 利益 : 純資産 =1:1:1 に変更
改正によって利益調整での相続税対策が難しくなり、純資産額の大きい会社は自社株評価がこれまでより上昇することになりそうです。
>>>自社株評価はこちら
事業承継税制 猶予取消時の税負担に救済策
中小企業の事業承継時に、贈与税・相続税の負担を減らせる「事業承継税制」は年々拡充されています。
【改正前】
・ 事業承継税制を利用するためには、自社株の承継後5年間、一定の雇用(元々いた従業員数の平均8割以上)を維持しなければならず、途中で要件を満たせなくなった時には、それまで猶予されていた贈与税や相続税の納税義務が加算税などを加えて発生する。
【改正後】
・ 猶予期間中に自然災害で被害を受けた事業者については、雇用確保要件を免除。
大きな被害を受けたことで倒産せざるを得なかった企業については猶予していた税負担そのものを免除。
・ 従業員4人以下の事業者は従業員が一人減るだけで条件を満たせなくなってしまうため、4人以下なら1人減っても猶予を継続できるよう条件を緩和。(ただし、元の従業員数が1人のときは0人になってしまうと猶予は受けられない)
・ 相続時課税制度を選択できるようになったことで、贈与税の猶予が取り消されても、2500万円までは一律20%に税率となり、加算税もつかない。
>>>事業承継についてはこちら
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