「財団たる医療法人」に寄附していた時の残余財産分配請求権と相続

このコラムでわかること

  • 残余財産分配請求権と相続の関りについて
  • 財団たる医療法人の設立時に寄附をしていたときの相続について

このコラムをおすすめしたい人

  • 故人が財団たる医療法人の設立時に寄附をしており、相続にあたって不安がある方
  • 残余財産分配請求権の存在を知ったが、考え方がわからず困っている方

財団たる医療法人に対する残余財産分配請求権の相続性

質問

私の父は財団たる医療法人の設立時に寄附をしていました。
寄附行為によると、「財団解散時の残余財産は、設立当時の寄附行為者(またはその相続人)に帰属する」という旨の規定があって、その残余財産を請求できる「残余財産分配請求権」があると知りました。
この「残余財産分配請求権」は、父の相続財産として相続税の対象になるのでしょうか。

回答

ご質問ありがとうございます。資産税部の後藤がお答えします。

結論から言えば、相続税の対象にはなりません
詳しく解説していきます。

まず、「残余財産分配請求権」が何かを見ておきましょう。
残余財産分配請求権は、企業が解散することになった場合に発生する権利のひとつで、企業が解散及び清算手続きにより負債の返済が完了してもまだ財産が残った場合に、その残余財産の分配を請求することができるという権利のことです。
出資者の財産権を表す「出資持分(出資者が出資額に応じて企業に対して有する持分割合)」に応じた額を請求できます。

それでは、今回のご質問のケースに当てはめて考えます。
「財団たる医療法人」には「出資持分」の概念がなく、医療法人に対する財産権がないと言えます。
そのため、お父様が亡くなられた時点においては、残余財産分配請求権は具体的な権利として生じていないことになるのです。
したがって、【そもそも残余財産分配請求権は相続財産とはみなされないため、相続税の課税対象にはならない】という回答となります。

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後藤
後藤
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