相続直前で行える対策はありますか?~遺言編~

このコラムでわかること

  • 相続が直前になってから行える相続税対策について
  • 遺言書の種類と活用方法

相続対策は早いうちからやりなさいと言われていることは分かっているのですが、まだまだ自分事にできません。直前になってしまってから出来ることはあるのでしょうか?

こんにちは、後藤です。
今回のご質問は私がお答えします。

相続を自分事に出来ないという声は、時折聞かれますし、相続人の方から相談されるようなこともあります。
いざそうなってから出来ること、に限定して考えると、まず以下のことが考えられます。

相続直前という前提でも出来る相続対策

  1. 遺言書の作成
  2. 生命保険
  3. 生前贈与
  4. 養子縁組
  5. お墓の購入

お亡くなりになる直前で行える相続対策というのは、そう多くはありません。
ですから、「健康なうちに相続対策を行っておくべき」というのはごもっともな意見ではあります。

しかしながら実際、世の中の多くの人は自分の身にいざということが起こらない限り、なかなか自分の死について考えることはできないと思います。

そこで今回は、お亡くなりになる直前でも行うことのできる相続対策についてお話したいと思います。

亡くなる直前でもできる相続対策「遺言書作成」

相続直前でも行うことのできる対策の中で一番確実で安心なものは「遺言書の作成」です。

遺言書の作成には、以下のメリットがあります。

  • 残された相続人が遺産分割でもめずに済む
  • 財産を渡したい人に、自分が指定した財産を残せる可能性が高くなる
  • 財産を渡したくない人には渡さなくて済む可能性が高くなる

相続人同士の仲が良く見えていても、いざ相続が発生して遺産分割をしようとなった時に、もめてしまったケースというのは、私も数多く見てきました。
「遺産がそんなに多くないから揉めないだろう」と思っていても、揉めるか揉めないかに財産規模はあまり関係ありません。
正直に申し上げてしまえば、「揉めるときは揉める」という一言に尽きます。

しかしながら、自分の大切な親族が自分の遺産によって仲違いしてしまうのは、とても悲しいことです。

遺言書一つ残すことで、それが防げるのであれば、遺言書を作成することには非常に意義があると思います。

遺言書には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。

自筆証書遺言は、自分ですべて書く必要がありますが、公正証書遺言は公証人に遺言内容を口述することで作成することが可能です。
ですから、例えば、意思能力はあるけれども体が動かなかったりする方であれば、自筆証書遺言は残せないとしても公正証書遺言は作成することができます。
また、病院や施設にいて公証役場まで行くことができない方であっても、公正証書遺言には出張作成制度もあるので、病院のベッドで寝た状態であっても作成が可能です。

すなわち、意思能力がはっきりしてさえいれば、仮にお亡くなりになる前日だとしても、遺言を残すことは可能となります。

遺言書の作成について、まとめると以下の通りです。

遺言書作成のまとめ自筆証書遺言公正証書遺言
作成方法必ず自筆(目録のみPC作成可)
署名押印・日付の記載必須
口述 ・公証役場で証人2名以上立会
(出向けない場合は出張作成制度あり)
保管場所自宅又は法務局公証役場
相続後の対応法務局で検認
(法務局で保管の場合は不要)
公証役場で確認
注意点記載方法に不備があった場合無効になる
紛失や偽造の可能性がある
作成時の意思能力について争点になる可能性がある
費用がかかる
(公正証書作成手数料、出張制度利用の場合は出張費用など)

ここまで、相続直前でも遺言書の作成ができることをお話してきましたが、やはり、前もって準備をしておくことができればそれに越したことはありません。

遺言は一度作成したら最後というわけではなく、何度でも書き換えることが可能ですので、まだ早いかなと思ううちに、一度作成することをお勧めします。

遺言の作成について少しでも関心がありましたら、まずは一度ご相談をいただければと思います。

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後藤
後藤
相続は人生に一度あるかないかの出来事ですので、誰もが不安な気持ちを抱えていらっしゃいます。私はお客様のそのような不安な気持ちに寄り添い、どんな些細な悩みにも真摯に応えてまいります。
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