一般社団法人でクリニック開設

「クリニックを開設しよう!」と思ったら、個人での開設か、医療法人での開設かを迷う方が多いかと思います。
このページでは第三の選択肢である「非営利法人」でのクリニックの開設を紹介します。

クリニックの開設方法は4つ

  • 医師・歯科医師が個人で開設
  • 医療法人で設立
  • 非営利法人で設立
  • 株式会社で設立

一般社団法人によるクリニック(診療所)の開設方法

そもそも医療法人でなくてもクリニックは設立できるのか?

そもそも、クリニックは医療法で非営利性を担保することを求められています。
医療機関の非営利性について、医療法第七条6項において「営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては開設許可を与えないことが出来る」
医療法第五四条では「医療法人は余剰金の配当をしてはならない」と2つの規定があります。
税務でいう非営利性とは、利益を出してはいけないのではなく【余剰金の配当をしてはいけない】という意味です。

一方、一般社団法人、一般財団法人は誰でも開設できる法人形態です。更に公益性が認められると、公益社団法人、公益財団法人に切り替わります。
これにより、要件をクリアしたら一般社団法人・一般財団法人でもクリニックを開設・経営できるようになりました。

一般社団法人でクリニック(診療所)を経営するための要件

クリニックを開設する目的で一般社団法人を設立する場合は、一般社団法人の要件でも「非営利性が徹底された法人」の要件をすべて満たす必要があります。

非営利性が徹底された法人の要件

  • その定款に余剰金の分配を行わない旨の定めがあること
  • その定款に解散したときはその残余財産が国もしくは地方公共団体又は次に掲げる法人に帰属する旨の定めがあること
    ⅰ 公益社団法人 または 公益財団法人
    ⅱ 公益法人認定法第5条17号イからトまでに掲げる法人
  • ①及び②の定款の定めに反する行為(①、②、④に掲げる要件のすべてに該当していた期間において、剰余金の分配または残余財産の分配若しくは引渡し以外の方法(合併による資産の移転を含みます)により特定の個人又は団体に特別の利益を与えることを含みます)をしたことがないこと
  • 各理事(清算人を含みます。以下同じです)について、その理事及びその理事の配偶者又は3親等以内の親族その他のその理事と一定の特殊の関係のある者である理事の合計数の理事の総数のうちに占める割合が、3分の1以下であること

参考文献:一般社団法人・一般財団法人と法人税(平成26年3月)-国税庁

「共益的活動を目的とする法人」の要件を満たしている一般社団法人の場合は?

もともと「共益的活動を目的とする法人」を満たしている非営利型の一般社団法人、一般財団法人の場合は、
地区医師会と同様に従たる事業としてクリニックの開設ができます。

一般社団法人と財団法人の違い

一般社団法人 一般財団法人
特徴 人の集まり 財産の集まり
目的 制限なし
社員資格 制限なし
社員又は設立数 2人以上 1人以上
役員 理事1名以上 評議員3人以上、理事3人名以上、監事1名以上
役員任期 理事2年以内、監事4年以内(※選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会(定時評議員会)の終結の時まで。監事は選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会(定時評議員会)の終結の時まで。)
基金 制限なし 300万円以上
配当 不可

クリニック開設方法比較

【法人設立・診療所開設】個人クリニック医療法人一般社団法人
法人設立の手続き法人設立 手続きなし●都道府県に設立許可申請
(受付期間あり。年2回)
●許可までに半年以上
●さらに法務局で登記
(1~2週間)
●公証役場で定款認定
●法務局で登記
(1~2週間)
設立費用0円●設立許可
 →行政書士 60万円前後
●登記費用
 →0円
●公証役場 
 →認証手数料5万円+付随費用
●登記費用
 →6万円
診療所開設手続き保健所→「診療所開設届」提出
(開設後10日以内)
保健所→「診療所開設許可申請」
許可を受けたら
保健所→「診療所開設届」
(開設後10日以内)
保健所→「診療所開設許可申請」
許可を受けたら
保健所→「診療所開設届」
(開設後10日以内)
開設許可までの期間診療所開設届を出せば終了1ヶ月程度早ければ1ヶ月~数ヶ月
事前に保健所と相談しておくと早くなる
開設許可の費用2万円2万円2万円
【税金面】   
所得税・法人税所得に応じて5~45%年800万円以下の所得は15%
年800万円超の所得は23.2%
地方法人税 10.3%
年800万円以下の所得は15%
年800万円超の所得は23.2%
地方法人税 10.3%
都道府県民税4%(所得割)1%(法人税割)1%(法人税割)
個人事業税・
法人事業税
5%年400万円以下の所得は3.5%
年400万円超の所得は4.9%
年400万円以下の所得は3.5%
年400万円超 800万円以下の所得は5.3%
800万円超 の所得は7.0%
区市町村民税6%(所得割)6%(法人税割)6%(法人税割)
消費税消費税課税事業者に対して課税消費税課税事業者に対して課税消費税課税事業者に対して課税
相続税原則としてすべての財産が課税対象経過措置型医療法人の出資持分は課税対象特定の一般社団法人は個人とみなして課税対象

法人設立

医療法人の設立

医療法人の設立は完了するまでに9ヶ月位かかる上、スケジュールが決まっているので、計画的に準備する必要があります。

都道府県によってスケジュールは異なりますが、年2回しか医療法人の設立許可申請を受け付けていません。
その受付期間も1周間程度と非常に短く、その期間に申請をしないと受け付けてもらえません。

申請書作成のためにも書類準備期間として数ヶ月かかります。
行政書士などに依頼すると60~80万円ほどかかります。

更に許可書の交付がされるまで半年かかりますから、合計すると設立まで9ヶ月ほどかかります。

また、医療法人の定款は特殊で都道府県がつくった定款例をもとに作るため、ほとんど自由度はなく、同じ都道府県ならほぼ内容は同じの定款になります。

一般社団法人の設立

公証役場で定款の認証を受けてから法務局で登記をすれば設立できます。

しかしながら、一般社団法人でもクリニックを開設できるかどうかは、保健所の判断が重要になってきます。
設立前に定款に問題が無いかを事前相談をしておくことで、診療所開設がスムーズにできるようになります。
設立後に定款の修正となると、法務局で変更登記を行うことになります。

一般社団法人で診療所を開設する場合は、「非営利性が徹底された法人」の要件を全て満たしていることが条件です。
さらに、診療所開設の申請時に定款で申請が通らないことがありますので、医療法人の定款例を参考にしておくのもポイントです。

診療所開設

個人開設の診療所開設

業後、10日以内に保健所に「診療所開設届」を提出します。
臨床研修を修了した医師か歯科医師であれば、診療所を開業することができます。

医療法人の診療所開設

診療所開設前に、保健所に「診療所開設許可申請」を行います。
医療法人の場合は、医療法人の設立の時点に都道府県に対して医療法人設立許可申請を行っているため重複している内容の部分に関してはチェックされません。
診療所の構造、医師や歯科医師の資格などを確認されます。
そのため、医療法人の場合、診療所許可申請は1ヶ月程度で許可がおります。

診療所開設許可申請を受けられたら、いよいよ「診療所開設届」を提出します。
診療所開設届は開設後10日以内に保健所に提出します

一般社団法人診療所開設

診療所開設前に、保健所に「診療所開設許可申請」を行います。
一般社団法人の場合、このタイミングで法人の非営利性の確認が行われるため時間がかかります。
一般社団法人の設立前に保健所に相談をして、予め定款の非営利性が徹底されているかどうかをチェックを受けておくと早ければ1ヶ月で完了しますが、
修正等が必要となると再度登記が必要になったり時間がかかるので、予め保健所で相談をしておくといいでしょう。

診療所開設許可申請を受けられたら、いよいよ「診療所開設届」を提出します。
診療所開設届は開設後10日以内に保健所に提出します

一般社団法人でクリニックを経営するメリット/デメリット

医師ではなくても、クリニックが経営できるので、医師ではないお子さんにも事業譲渡できます。

一般社団法人の経営者は医師や歯科医師などと限定はされていません。

そのため、非医師のお子様であっても、事業承継を行う事ができます
「子供は医師にはならなかったけど、孫が医師になりたいと言っていて、孫の代までどうにか残してやりたい!」
という方や、
「子供は看護師(歯科技工士、理学療法士)などの職業についたから、一般社団法人として経営を任せたい」
という方に選ばれています。

株式会社で行っていたリハビリテーションを、地域包括ケアにシフトチェンジも可能

一般社団法人は、医療法人と異なり、業務に規制がありません。
そのため、訪問看護ステーションを経営されていた方が、地域包括ケアに移行するために一般社団法人を設立して、リハビリテーションの幅を広げたり、
オンライン診察などを行うこともできます。

医療法人よりスピーディーに開設

医療法人よりも早く、設立の時期も自由に決められる一般社団法人のクリニックの開設は、スピーディーに開設したい方には向いています。

クリニックを開設するためには予め場所を決めて、借りておく必要があるので、
きちんと事前に保健所に相談などをして、早く開設できるように準備しておくことで半年ほど、早く開業できれば、その分の家賃の回収もできるようになります。

前例が少ないので、保健所とかも不慣れな可能性がある

まだクリニックの開設といえば、個人開設か医療法人開設の2択がメインで、一般社団法人によるクリニックの開設は件数が多くありません。
保健所にとってもやったことがなく、はじめてのケースになる可能性もあり、その場合は全て抜かり無く書類を用意していたとしても
保健所の方の確認が遅くなってしまうこともあります。

YFPクレアで一般社団法人でクリニック開設

開業融資もお任せ下さい!

一般社団法人でクリニックを開設した際の融資のサポートも行っております。

一般社団法人クリニックの融資実績

秋葉原 メンズ美容クリニック

首都圏地方銀行プロパー
8,000万円

吉祥寺 婦人科クリニック

地方銀行プロパー
4,000万円

錦糸町 女性クリニック

首都圏地方銀行プロパー
9,000万円

その他、クリニックの融資は実績多数あります。

サポートの流れについて

まずはお問合せ!お問合せフォームから

まずはお問合せフォームからお問合せください。
お返事まで最大で1営業日頂いております。
税理士・行政書士からお返事致します。

STEP
1

ご面談、電話相談(ZOOM、チャットワークライブ可)

具体的なご相談を行います。
クリニックの開設については多数のサポート経験がございます。
安心してご相談ください。

STEP
2

契約 &着手

サポート内容にご納得いただけましたら、契約となります。

STEP
3

サポート費用(税抜)

一般社団法人設立パック

300,000円 (日当は含まれておりません)

●一般社団法人設立登記申請
※クリニック開設許可手続きに必要な定款および議事録を作成致します
※管轄保健所との事前相談含みます
※事業譲渡契約書等の契約書も作成致します。

診療所開設許可申請パック

クリニック1件につき 770,000円 (日当は含まれておりません)

●一般社団法人設立登記申請
●診療所開設許可申請
●診療所開設届

※事業譲渡契約書等の契約書も作成致します。
※保健所の開業前の立会検査も同行します。
※金融機関の融資等の開設許可申請手続きに必要な作業は適宜対応致します。

おまかせパック

クリニック1件につき 約1,000,000円 (日当は含まれておりません)

●一般社団法人設立登記申請
●診療所開設許可申請
●診療所開設届
●保険医療機関指定申請
●施設基準の届出関係
●その他の各種申請(届出)手続き

※社会保険、労働保険、診療報酬請求及び民間の一般契約以外のお手続きは基本的に対応致します。

個別の報酬(オプション)

診療所の開設許可申請
(契約書等作成費用を含む)
600,000円~
診療所開設届(法人の開設届)55,000円~
診療所廃止(休止・再開)届10,000円
保健所の検査の立会15,000円
その他各種書類の作成(1通)8,000~20,000円
日当(交通費含む)15,000円~
保険医療機関指定申請75,000円~
保険医療機関の廃止(休止・再開)届10,000円
施設基準に係る届出(1件)8,000~25,000円
その他各種書類の作成(1件)8,000~20,000円

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