
「キャリアアップ助成金」は、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といった、いわゆる非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
労働者の意欲・能力を向上させ、事業の生産性を高め、優秀な人材を確保するためにも活用できる制度になっています。
キャリアアップ助成金について
キャリアアップ助成金は6コース
キャリアアップ助成金は、前述の通り非正規雇用労働者のキャリアアップのための助成金です。
行う取り組みによって支給額や要項が変わり、全部で6つのコースに分かれます。
- 正社員化コース
- 障害者正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 賃金規定等共通化コース
- 賞与・退職金制度導入コース
- 社会保険適用時処遇改善コース(令和8年3月31日まで)
各コースの要項については後述とします。
まずは全体に共通した要項についてまとめました!
対象事業主
キャリアアップ助成金は、まず下記の条件を満たす事業主であることが必要です。
- 雇用保険適用事業所の事業主であること
- 雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主であること
※ キャリアアップ管理者は、複数の事業所および労働者代表との兼任はできません。 - 雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働局長の受給資格の認定を受けた事業主であること
- 対象労働者に対して、労働条件や賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備することができる事業主であること
- キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主であること
ここでいう「事業主」には、民間の事業主の他、公益法人やNPO法人、医療法人、社会福祉法人等も含まれます。
また、各コースの要項に記載がある時の「中小企業」は、以下のように定義されています。
業種 | 資本金の額・出資の総額 | 常時雇用する従業員の数 | |
---|---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | または | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | または | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | または | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | または | 300人以下 |
資本金の額等を基準に、それがない場合は従業員数を基準に決められています。
これに当てはまる場合は、キャリアアップ助成金では中小企業の扱いとなりますのでご注意ください。
助成金の受給までの流れ
キャリアアップ助成金を受給し活用するためには、各コースを実施する前日までに「キャリアアップ計画」等を作成し、提出しておく必要があります。
認定までには時間を要する可能性もあるため、1ヶ月前には提出しておく方がよいでしょう。
各コースに基づいた「キャリアアップ計画」の作成・提出
↓
「キャリアアップ計画」の実施
↓
キャリアアップ助成金の受給申請
という流れとなります。
「キャリアアップ計画」の作成については、労働組合等に意見を聴くとよいとされています。
各コースごとの概要について
ここからは7つのコースについて紹介します。
正社員化コース
共通対象者の要項を満たした事業主が、有期雇用労働者等を正規雇用労働者等に転換、または直接雇用した場合に助成されるものです。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
- 重点支援対象者の場合
① 有期 → 正規:1人当たり 80万円(60万円)
② 有期 → 無期:1人当たり 40万円(30万円) - それ以外の場合
① 有期 → 正規:1人当たり 40万円(30万円)
② 無期 → 正規:1人当たり 20万円(15万円)
さらに、以下の加算措置があります。
- 正社員転換制度を新たに規定し、当該雇用区分に転換等した場合:1事業所当たり 20万円(15万円)
- 勤務地限定・職務限定・短時間正社員制度を新たに規定し転換した場合:1事業所当たり 40万円(30万円)
いずれも1事業所当たり1回のみの適用ですので、お気を付けください。
障害者正社員化コース
障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換した事業主に対して助成されます。
令和2年度末で障害者雇用安定助成金が廃止されることに伴って、キャリアアップ助成金に移されたものです。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
支給対象者 | 措置内容 | 支給総額 | 支給対象期間 | 各支給対象期における 支給額 |
---|---|---|---|---|
重度身体障害者、 重度知的障害者 および 精神障害者 | 有期雇用から正規雇用 への転換 | 120万円 (90万円) | 1年 | 60万円 × 2期 (45万円 × 2期) |
有期雇用から無期雇用 への転換 | 60万円 (45万円) | 30万円 × 2期 (22.5万円× 2期) | ||
無期雇用から正規雇用 への転換 | 60万円 (45万円) | 30万円 × 2期 (22.5万円× 2期) | ||
重度以外の 身体障害者、 重度以外の 知的障害者、 発達障害者、 難病患者、 高次脳機能障害と診断された者 | 有期雇用から正規雇用 への転換 | 90万円 (67.5万円) | 45万円 × 2期 (33.5万円※× 2期) ※第2期の支給額は 34万円 | |
有期雇用から無期雇用 への転換 | 45万円 (33万円) | 22.5万円 × 2期 (16.5万円 × 2期) | ||
無期雇用から正規雇用 への転換 | 45万円 (33万円) | 22.5万円 × 2期 (16.5万円 × 2期) |
※支給対象期間1年間のうち、最初の6か月を第1期、次の6か月を第2期の支給対象期といいます。
賃金規定等改定コース
すべてまたは一部の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に助成されます。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
3%以上4%未満 | 4%以上5%未満 | 5%以上6%未満 | 6%以上 |
---|---|---|---|
4万円(26,000円) | 5万円(33,000円) | 65,000円(43,000円) | 7万円(46,000円) |
さらに、以下の加算措置があります。
- 「職務評価」の活用により実施:1事業所当たり 20万円(15万円)
- 昇給制度を新たに設けた場合 :1事業所当たり 20万円(15万円)
いずれも1事業所当たり1回のみの適用ですので、お気を付けください。
賃金規定等共通化コース
有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を新たに作成し、適
用した場合に助成されます。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
1事業所当たり60万円(45万円)
さらに、対象となった労働者数によって支給額が上がる加算措置があります。
賞与・退職金制度導入コース
就業規則または労働協約の定めるところにより、すべての有期雇用労働者等に関して、賞与・退職金制度を新たに設け、支給または積立てを実施した場合に助成します。
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
賞 与 又 は 退 職 金 制 度い ず れ か を 導 入 | 賞 与 及 び 退 職 金 制 度を 同 時 に 導 入(加算措置合計額) |
---|---|
40万円(30万円) | 56 万8,000 円(42 万6,000 円) |
さらに、共通化した手当数や対象労働者数によって支給額が上がる加算措置があります。
社会保険適用時処遇改善コース(令和8年3月31日まで)
雇用する短時間労働者に、以下のいずれかの取り組みを講じた場合に助成します。
- 新たに社会保険の被保険者要件を満たし、その被保険者となった際に、賃金総額を増加させる取り組み(手当支給・賃上げ・労働時間延長)を行った場合
- 週の所定労働時間を4時間以上延長する等を実施し、これにより当該労働者が社会保険の被保険者要件を満たし、その被保険者となった場合
支給額(中小企業の場合、()内は大企業の場合)
上記①手当等支給メニューの場合 :1人当たり 50万円(37万5,000円)
上記②労働時間延長メニューの場合:1人当たり 30万円(22万5,000円)
なお、①手当等支給メニューの場合は3年にわたる恒常的な所得の増額となる取り組みを行った場合の支給になりますので、ご注意ください。
キャリアアップ助成金 申請サポート
正社員化コース申請サポート
費用
50,000円 ※現在、税務顧問契約中のお客様のみ承っております
サポートの流れ
1、お問合せ
下記フォームからお問い合わせください。
2、営業担当によるヒヤリング
御社のご状況をヒヤリングし、キャリアアップ助成金の正社員コースが適用できるかどうかなどを確認します。
3、必要書類集め
キャリアアップ助成金には就業規則などの書類をご提出お願いします。
4、計画の申請
弊社で書類を作成しますので、貴社は確認をお願いします。
5、取り組みの実施
必要な取り組みを実施お願いします。
6、支給申請
弊社で書類を作成しますので、貴社は確認をお願いします。