2018年もそろそろ師走。

2018年の助成金は「生産性向上」がテーマになりました。
日本は労働人口が減ることがほぼ確実になっており、経済成長をするためには一人一人の労働生産性を上げていくことが必須だからです。

そのための足掛かりとして、2018年の助成金は生産性向上させることで助成額や助成率を割増されました。この傾向は2019年も同様と見られています。

生産性要件が設定されている助成金

キャリアアップ・人材育成関係

●キャリアアップ助成金(すべてのコース)
非正規雇用者を正規雇用に企業内でキャリアアップしたときや非正規労働者の労働条件を良くしたときなどに使える助成金です。2018年から賃金が5%アップすることが要件に組み込まれました。

(例)
有期雇用→正規雇用に切替・・・57万円
  +派遣労働者の加算額・・・28万5千円

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/part_haken/jigyounushi/career.html

労働移動支援助成金(再就職支援関係)

● 早期雇入れ支援コース
離職から3カ月以内の離職者を無期限の従業員として雇用し、支給基準日にも雇用していることが条件です。

通常助成・・・30万円/人
優遇助成・・・80万円/人

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000082805.html

● 中途採用拡大コース
生産性向上するために、社内を整備して中途採用を拡大するともらえる助成金です。

中途採用拡大助成・・・60万円
生産性向上助成 ・・・30万円

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160737.html

仕事と家庭の両立関係

女性の育児休業と仕事復帰の支援や男性の育児休業の取得、介護休業の取得と復帰等を目的とした助成金です。特に男性の育児休業と介護休業の助成金は大きな金額です。

●出生時両立支援コース
男性が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場にし、実際に取得すると支払われる助成金です

男性の育児休業・・・57万円(1人目の場合)
生産性要件を満たすと72万円

育児目的休暇の導入・・・28.5万円

●介護離職防止支援コース
仕事と介護を両立できる職場環境をつくり、「介護支援プラン」を作成したうえで介護休業の取得・職場復帰または介護のための勤務制限制度の利用を円滑にするための取組を行った事業主に支給されます

介護休業・・・57万円
生産性要件を満たすと72万円

介護制度・・・28.5万円
生産性要件を満たすと36万円

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000207842.pdf

雇用環境の整備関係

● 人材確保等支援助成金
介護事業や保育事業など、人手不足が深刻化している事業で、雇用環境を改善して離職を防ぐ目的の助成金です。

雇用管理制度整備計画の認定し、離職率目標の達成・・・57万円
生産性要件を満たすと72万円

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000199292.html

●65歳超雇用推進助成金
定年を引き上げたり、継続雇用することでもらえる助成金です。

50歳以上定年未満の有期契約労働者を無期雇用に転換した場合・・・48万円/人
生産性要件を満たすと60万円/人

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000139692.html

生産性について

ここまで「生産性要件を満たす場合」などと多数書いてきましたが、生産性の条件を記載します。

まず、生産性とは・・・

生産性=(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数

で表します。

この生産性が
3年前に比べて6%以上伸びていることが生産性要件の原則です。または、3年前に比べて1%以上伸びていること(ただし、金融機関から一定の「事業性評価」を得ていることが必要です)

●生産性要件の算定対象となった期間中に、事業主都合による離職者を発生させていないこと
●各勘定科目の額の証拠書類(損益計算書、総勘定元帳など)の提出が必要です
●人件費は従業員給与のみで、役員報酬は含みません。

今後も生産性向上に関してはテーマになると予想されます。
今から3年後に向けて、生産性を向上しながら事業規模の拡大や売上向上を目指しませんか?

守ることも大事です

助成金制度を利用するのに、意外と壁になるのが「事業者都合による離職者を出さないこと」です。
これは就業規則や雇用契約書に不備があった場合、事業者都合とされてしまうケースもあります。
また、残業代の未払い等もかなりチェックされます。

助成金をもらうことが目的というよりも、従業員とよりよい関係を結び、互いに気持ちよく働ける職場にしようと思えば、これらは必要になることです。

就業規則はダウンロードもできる時代ではありますが、助成金をもらったり、従業員とのことを考えるとダウンロードでは足りません。オリジナルのものをきちんと作って労働環境を整えましょう。

投稿者・投稿者チーム紹介

税理士法人YFPクレア
税理士法人YFPクレア
創立50周年を迎えた税理士事務所です。
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