みなさんこんにちは、監査3部2課の辻です。
今回から「レンズは資産、ボディは消耗品ってホント?」について書いていきたいと思います。

「レンズは資産、ボディは消耗品」は税務にも通用するのか

「レンズは資産、ボディは消耗品」という言葉は、カメラ好きなら一度は耳にしたことがあると思います。

ボディは精密機械なので使い続けていれば故障することもありますが、光学機器であるレンズはボディに比べて故障しにくいので、ボディを交換してもレンズは長年使い続けられることからこの様に言われているのだと思います。
カメラ好き界隈では、この言葉を都合よく(笑)解釈して、「レンズは資産だからいくら買っても良いんだ!」とレンズ沼にドップリはまっている人も少なくないようです。

さて、本題に入りたいと思います。

実際にレンズやカメラを購入した時、税務上はどの様に処理したら良いのでしょうか?
それぞれお手軽に買える数万円のものから、100万円を超える高額なものまで様々あります。

特にみなさんが気になるのは、いくらまで経費に出来るのか?どうやって経費に出来るのか?と言うことだと思います。

結論として、税務上は「レンズだろうが、ボディだろうが金額で判断する」ことになります。

税務上の判断基準は、レンズだろうとボディだろうと「金額」

カメラは「消耗品費」として購入した年に全額経費として計上できる場合や、「資産」に計上して減価償却という会計処理を経て費用化していく場合などがあります。
その判断基準は、どの部品だとしても「金額」なのです。
処理の仕方についても、強制的に採用しなければいけない場合や、好きなものを選択出来る場合もあります。
金額の判断基準は3つあります。

判断基準の金額はいくら?

  • 10万円未満
  • 10万円以上 20万円未満
  • 10万円以上 30万円未満

それでは、この「金額」について詳しくご説明します。

原則は「10万円」

まず基本となるのが、1つあたりの取得価額が10万円以上かどうかです。

10万円未満の場合

原則として「消耗品費」として全額をその期の経費にできます。

例:5万円のカメラ本体、8万円の単焦点レンズ、9万円のコンパクトデジタルカメラ

10万円以上の場合

原則として「固定資産」として計上し、減価償却によって5年にわたって費用化します。

例:15万円の一眼レフカメラ本体、25万円の望遠レンズ

10万円以上の例外的処理

10万円以上の場合、例外的な処理方法を選択できる場合があります。

「一括償却資産」:20万円未満の資産

  • 対象となる資産:取得価額が10万円以上20万円未満のカメラ本体、レンズ、またはセット(合計額)等
  • 処理方法:通常の減価償却ではなく、「一括償却資産」として計上し、3年間で均等に費用化することができます。

この方法のメリットは、個別の減価償却計算が不要になる点です。
購入年度から3年間、取得価額の1/3ずつ費用に計上するだけで済むため、会計処理が非常に楽になります。
原則通り固定資産に計上した場合の耐用年数は5年ですので、より早期に費用化することができます。
また、固定資産税の計算対象からも外れますので、固定資産税を節約するメリットもあります。

「少額減価償却資産の特例」:30万円未満の資産(年間の上限あり)

  • 対象となる資産:取得価額が10万円以上30万円未満のカメラ本体、レンズ、またはセット(合計額)等
  • 適用条件:青色申告書を提出する中小企業者等であること。
  • 処理方法:取得価額の全額を、購入した事業年度に一括で経費にできます。
  • 注意点:この特例を適用できるのは、年間の合計取得価額が300万円までです。また、固定資産税の計算対象になります。

この方法のメリットは、購入した固定資産の全額を当期の経費にすることで、節税が出来るということです。
ただし、使える上限が合計で300万円までだったり、固定資産税の計算対象になる点について注意が必要です。

まとめ

取得価額(単体または一体の合計)原則的な会計処理例外的な会計処理(該当すれば選択可)
10万円未満消耗品費として全額費用なし
10万円以上20万円未満固定資産に計上して減価償却で費用化一括償却資産(3年間で均等償却)
10万円以上30万円未満固定資産に計上して減価償却で費用化少額減価償却資産の特例(購入年度に全額償却)
※年間300万円まで
※中小企業者のうち青色申告書を提出るする者
30万円以上固定資産に計上して減価償却で費用化なし

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税理士法人YFPクレア カメラマンチーム
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