みなさんこんにちは、YFPクレア医療チーム 歯科医院向けコラム担当です。
昨今、あらゆる業種での消費税の負担が大きな課題になっています。

ざっくり言ってしまえば、法人税・所得税は「利益に対しての課税」です。
つまり、【儲かっていなければほぼ税負担がない】と考えてよいでしょう。

一方、消費税は【たとえ赤字でも発生しうる税金】です。
「赤字なのになぜこんなに消費税を払わなければならないのか?」というご相談はよくお聞きするところです。

今回は歯科医院に絞った消費税のお話を取り上げます。
課税の対象となる取引と、課税方式のうち免税と簡易課税について取り上げてみます。

Ⅰ.課税の対象

歯科医院では消費税の対象となる取引・ならない取引が存在します。
ざっくりまとめると以下の通りです。

  • 社会保険診療収入(国保・後期高齢者など)
    →非課税
  • 歯ブラシ等の物販収入
    →課税
  • 自由診療収入
    →課税 ※ただし、本来自由診療の治療内容でも、労災保険の対象となるものは非課税
  • 金属の売却収入
    →課税
  • 国・自治体からの補助金
    →消費税対象外

Ⅱ.消費税の課税方式

消費税免税

2期前の自由診療収入+物販収入などが1000万円以下(開業したてで2期前の売上が存在しない事業者を含む)の場合は、消費税を申告する義務がありません。
但し、申告する義務がないということは納税する義務がないわけですが、消費税の還付を受ける権利もありません。

開業時に多額の設備投資を行い、かつ、自由診療に特化した歯科医院を志向される場合は、免税とするよりもあえて消費税課税事業者になったうえで還付を受けるという選択肢もありますので、慎重にご検討ください。

簡易課税

2期前の自由診療収入+物販収入などが5000万円以下の場合は、簡易課税を選択することができます。
 ※その期が始まる前までに「簡易課税制度選択届出書」を提出する必要あり

簡易課税は、仕入や設備投資を考慮せず売上のみでその種類ごとに消費税を計算する方法です。
具体的には以下の通りです。

  • 自由診療収入→第5種(売上の5%の消費税)
  • 歯ブラシ等の物販収入→第2種(売上の2%の消費税)
  • キシリトールガムの収入→第2種(売上の1.6%の消費税)
    ※ガムが食品のため軽減税率
  • 古くなった機械の売却収入→第4種(売上の4%の消費税)
  • 金属売却収入→第4種(売上の4%の消費税)
    ※金属売却収入については、私はその他の売上扱いの第4種だと思うのですが、他の税理士で「患者の歯から金属を除去することも本業」という考えで第5種とする主張もあります。

裁判の判例でもあればはっきりするのですが、これに関しては今後も注視していきたいと思います。
なお、設備投資や長期の休業などの特殊要因がなければ、簡易課税の方が消費税負担が少なくなるケースが多いようです。

まとめ:消費税は“赤字でも”負担が発生する税金

消費税は赤字でも発生するため、利益課税の法人税や所得税とは異なる注意が必要です。
歯科医院では、社会保険診療は非課税ですが、自由診療や物販などは課税対象となるため、売上の内容を把握し、免税・簡易課税の適用を検討することが大切です。
開業時の設備投資や将来の診療方針によって有利な課税方法は変わるため、最新情報を踏まえて慎重に選択しましょう。

次回は本則課税について取り上げようと思います。

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税理士法人YFPクレア 医療・介護チーム
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