架空の業務委託費で脱税が成立する仕組みと、バレる典型パターンと正解
2025年末、クリスマスやお正月ムードで盛り上がる中、脱税のニュースが飛び込んできました。
今回脱税をしたというのは、インフルエンサー「宮崎麗果氏」こと黒木麗果さん。大変おきれいな女性で、16歳でモデルデビュー。上智大学に通い、卒業後はコンサルティング会社を設立。今は50万人のフォロワーがいるキラキラ系で5人も子供がいる年商25億円のワーキングママ…という情報もあり、キレイで仕事ができる素敵なママとして、一部の子育てママたちから支持をうけていたようです。
報道によると、法人で得ていた利益のうち、約4億9600万円を架空外注費を上げて、法人税と消費税合わせて約1億5700万円を納めていなかった!
というのが今回の脱税報道の要約です。約5億円と額も大きいことから「ウッカリ」とかでは許さなかったのが「東京国税局」。今回は額も大きいことから税務署ではなく、国税局なので本気度がかなり高いことがうかがい知れます。
SNSと広告の世界は、売上の伸びが速い一方で、経費もスピード感が求めてしまいがち。撮影、編集、構成、スタイリング、マネジメント、広告運用…外注先が多いからこそ、会計や税務の意識をどこに置くかで結果はかなり変わります。
しかしなぁ…架空外注費で脱税は実によくある脱税手法ですから、税務署も要チェックしているポイント!
税務署がどうして嗅ぎつけてくるのか、どうしてバレるのかを解説します。
0. 税務調査の基礎知識
弊社1800社以上のお客様を抱えておりますが、国税局による税務調査の立ち合い経験は実際ございません。
それゆえ、生々しいレポートはできないのですが、最初に伝えておくべき税務調査の基礎知識について解説をします。
税務調査については知ってるから早く教えろー!という方は次の章「架空外注費の問題点」「どうしてバレるのか」へスキップください。
調査には2種類ある
(A) 任意調査(一般的な税務調査)
多くの会社が経験するのがこちら。通常、事前に連絡があり、日程調整もします。
「任意」とはありますが、これはお断りできるという意味ではなく、日程が任意なだけで、拒否権はありません。
税務調査というと怖い印象があるかと思いますが、事前に連絡もあるし、最初のうちは面談のようにお喋りの時間(ただし社長の趣味がゴルフとか旅行の行き先とか聞いて、あとの調査内容に響く可能性ありますからね!ご注意を!)を過ごし、その後は売上、経費の順番で見ていくことが多いです。調査自体は2日間で終わり、その後、何か問題があれば顧問税理士を通じて税務署とやり取りをすることになります。
任意調査は弊社も立ち合いを行っております。弊社はお客様の
(B) 強制調査(査察)
いわゆる「マルサ」。悪質性が高い、証拠隠しの恐れが強い等のケースで、手続きも別物です。今回のニュースのように「告発→特捜」という流れが出るのは、一般論としてこの強制調査です。一般的に脱税額1億円を超えると強制調査になります。
税務調査のきっかけ「KSK」とは
税務調査官はどのように行き先を決めているのか!気になりますよね?
ダーツが刺さったところに行く「ダーツの旅」やくじ引きやあみだくじで税務調査先を決めているわけではありません。
ここで紹介するのは、日本の国税局と税務署をネットワークでつなぎ、情報を管理するシステム「国税総合管理システム(KSK)」です。
これについては、税務調査官に聞いてもはぐらかされてしまうので、まったく全貌が見えてきませんが、分かっているのは「KSKを使うと、異常が素早く検知できる」ということです。
税務署がいう「異常」とは?
- 売上が急に伸びた/利益率が不自然に落ちた
- 同規模の同業他社と比較して外注費・広告宣伝費・交際費が大きい
- 未払金が多い、残高が毎期積み上がる
- 現金取引が多い、個人と法人のお金が混ざりやすい
- 消費税(課税売上・仕入税額控除)の整合が取りづらい
急な変化や同規模の同業他社と比較などが検知しやすいようですね。
実際、最近の税務調査の追徴課税は1件当たりが高額になっていく傾向があります。
※「SNSで派手だから」だけで調査される、というより、このようなお金の流れが不審な点があると来ると思った方がいいかと思います。SNSで派手な生活をしている割に、所得が少ないな…というきっかけになる可能性はあります。
無申告、所得隠し、脱税の違い
無申告は「申告書を出していない状態」。所得隠しは「申告は出しているが、売上除外や架空経費などで所得を小さく見せること」。脱税は「本来の税金を免れる行為の総称」で、特に故意・悪質性が強い場合は刑事事件になり得ます。
つまり、脱税か所得隠しか…の判断基準は「うっかりか、悪意を持って行ったか」で別れます。国税局や税務署は悪意があった!としたい場合はきちんとそれを証明する証拠を出さないといけません。今回のインフルエンサーの女性は隠蔽を疑われているのでそれなりに証拠がある可能性があります。
無申告でも所得隠しでも、脱税でも、罰則として加算税があります。
加算税は「申告したか」「調査の前に自分で直したか」「仮装・隠蔽があるか」で税率が変わります。早めの自主修正なら0〜5%で収まることもありますが、調査後は10〜15%、無申告や仮装・隠蔽が絡むと25〜30%や重加算税(35〜40%)まで跳ね上がります。
自分自身で確定申告をしている場合、なんでもかんでも経費に入れてしまうと「同業他社より経費が多いなぁ」と感づかれる可能性あります。経費性は自己判断をせず、事業に直接必要な出費のみを徹底しましょう。
1. 「架空外注費」って何が問題なのか
法人税は超ざっくり言えば、
売上 − 経費 = 利益(所得) → ここに税率をかけて税金を計算
です。
そこで、宮崎氏が行ったのは、実際には存在しない外注費(業務委託費)を入れて、帳簿上の利益が減り、法人税を減らすという手法。これが「架空外注費型」の脱税です。
広告・芸能の現場で厄介なのは、外注が多く、成果物も“形が残りにくい仕事”が多いこと。たとえば「企画相談」「アドバイス」「キャスティング相談」などは、ちゃんとやっていても証拠が薄いと説明が難しくなりがちです。
2. どうやって“バレる”のか
ここが一番重要です。税務はSNS投稿より、帳簿・証憑・お金の流れを見ています。架空外注費が疑われるとき、チェックされるのはだいたい次のセットです。
(1) 外注先の「実在」と「稼働」
- その外注先は本当に存在する?(住所・連絡先・事業実態・ウェブサイト)
- 誰が作業した?(担当者・作業体制)
- その人は本当にその仕事ができる人?(職歴・スキル・稼働状況)
外注先が“名義だけ”だったり、実態が薄いと、脱税の疑惑が深まります。
KSKは2001年から始めたシステムで、改良を加え最近はAIも搭載しています。おそらくKSKで実在するかやその稼働についてはある程度予測できるのではないか?と思うので予想以上にバレてる可能性あります。
(2) 仕事の「証拠」が残っているか
- 契約書(業務範囲・単価・成果物・検収)
- 発注書/請求書
- 納品物(データ・台本・編集プロジェクト・レポート)
- 連絡履歴(メール・チャット・修正依頼)
本当に仕事をしたなら、これらの証拠が残っているはずです。
なお、税務調査が入るのを知って、急いであとから契約書や同意書などを作ったとしても、パソコンのデータからそのファイルがいつ作られたかを見られたことがあります。この程度の悪知恵では国家相手に隠し通せません。税務調査では、調査官が求める証拠も押収されます。もちろん、パソコンに証拠が残っていれば、押収を拒否したくなるかと思いますが、納税者は調査官の質問検査権を拒否してはならない受忍義務が法律で定められており、書類や資料の提示提出をしなければなりません。拒否した場合は国税通則法第128条では1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処されることが定められています。
また拒むほど、そこに証拠があると感じますよね。
やましいことがなくて仕事ができなくなるから渡したくなくても、素直に渡さないと逆にいらぬ疑いを受ける可能性あります。
帳簿だけを持っていくならいいけどパソコンやスマホを持っていかれるのは大変困る…と個人的には思うので、私自身に税務調査が入らないように気を付けよう…と心底思います。
(3) お金の流れが「普通」か
- 銀行振込があるか
- いつ、いくら、何の対価として払ったか説明できるか
- 未払い金が不自然に膨らんでいないか
- 現金精算が多すぎないか
特に危ないのが、領収書だけはあるのに、支払いの実態が薄いパターン。
税務は「領収書の紙」より「資金移動」を強く信じます。
宮崎氏は報道によると「個人の口座から支払っている」と話していたそうで、
外注費 1000万円 / 未払金 1000万円
みたいな仕訳をしてたと予想されます。
これをいっぱいしていたら、未払金膨らんでしまって不審なお金の動きですよね…
これも立派な異常値として税務署は見そうですね。
というのも、いくら社長でも、自分のお金がどんどん減っていったら自由に使える自分のお金が減るのは嫌だ!となるはず…。そうならないのは、会社のお金で私物を購入して経費にしているか、架空経費か…どちらにしても税務上、正しくないことです。
(4) 反面調査・第三者突合で崩れる
片方が経費を上げたということは、相手は売上として計上して申告しているはずです。
そのため、自分自身が経費を上げて税金を下げたいなら、相手は売上を上げて税金を上げなければなりません。
ですが、相手は売上を入れていなければ、相手が売上を入れてない脱税か、自分自身が架空経費を入れた脱税かの2つに1つになります。
その場合は反面調査として、取引先に税務調査が入ることになります。
その取引先には「反面調査ですよー」なんて告知は一切なく、普通の税務調査のように行われます。まったく別の話に反れてしまいますが、脱税志向が強い経営者とお付き合いすると反面調査で税務調査が多くなり、仕事が滞る…というリスクもあるんだなぁと知っておくと、もしもの時に役立つかもしれませんね。
3. 外注が多くても、今日からできる「防衛策」!
「脱税なんてする気はない」のに、外注管理が雑で疑われるのが一番もったいない!最低限、次を整えるだけで強くなります。
外注の3点セット【必須】
- 契約書(または発注書):業務範囲・単価・成果物・検収・支払日。後から作るのはNG。電子的な契約書も有効です。
- 成果物の保存:納品データ、運用レポート、編集ファイル、修正履歴
- 支払いの痕跡:原則振込。現金なら理由とエビデンスを厚めに。
社長による立替、未払金などは減らしましょう。スッキリシンプルに美しい支払い痕跡を目指すといいでしょう。
第三者から見ても不審な点がない証拠をいっぱい残す!
これが大事です!
よくある“危ない外注”チェック
疑われやすい外注もこの際やめましょう!また色々な事情でやめられないけれど、疑われやすいと理解したらなおさら物的証拠やお金の流れのクリア化など上記の外注の3点セットをしっかり守る!もしましょう。
- 「毎月定額」なのに成果物が薄い
- “相談料”が高額で、記録がない
- 未払い金が積み上がっている
- 相手が身内など特別な関係の人物
- 領収書の筆跡・書式が似すぎている/発行者の実態が薄い
以前、税理士業界内のニュースでは、お医者さんが医師ではない子供にお金を上げるために、子供をクリニックのコンサルタントとして雇ったことにしてお金を渡していたけれど実態が乏しかった…という税務調査事例もありました。外注の相手が身内は特に税務署は血眼になってチェックをしてきます。相談料やコンサルでも成果物はしっかり残す!身内との取引の場合は、市場と同じくらいの価格であることと、きちんと成果物があるかどうか、仕事の痕跡もチェックされます。
【まとめ】ユーチューバー、インフルエンサー、芸能は
「透明性」を大事に!
報道によると今回の宮崎麗果氏の件では、隠蔽工作がなされていたとのこと。今後、同様のお仕事に戻る…というのはあまりにイメージが悪くて、今までのように案件が入ってこないのではないか?と思います。特にどの企業もコンプライアンスを重視する時代に、わざわざ脱税をしてニュースになった人に依頼せず、ほかのインフルエンサーに依頼すればいい話なので少なくても脱税した人に「うちの商品を紹介してください!」という企業は少ないのではないか?と思います。
実際、お茶の間で大人気だったチュートリアルの徳井さんが無申告で世間を賑わせたのは2019年10月のこと。看板番組のしゃべくり007への復帰は1年半かかりました。税務の業界人はインパクトがあって忘れてない出来事ですが、一般人はあっさり忘れてしまうのでしょうが、企業はそうはいきません。
実際、関西系の家電量販店エディオンは以前はチュートリアルをCMに起用していましたが、不祥事後はすべて差し替えや見合わせになっています。
そんな負のレッテルを貼ってしまうのが税の恐ろしいところ。
素直に税務をしていれば…今もキラキラセレブでいられた。今もお笑いの最前線だった…と思ってしまいます。
税金はお金を払えばいいだけですが、信用はお金では買えません。
信用を大事に、正しい税をして頂きたいと思います。
正しい税金には、正しい税理士を!
税理士法人YFPクレアでは芸能やユーチューバーなどのインフルエンサーも含め、有名人の確定申告を承っております。
有名人である芸能人や漫画家、スポーツ選手などは、社内であっても担当以外は帳簿が一切見れないようにしコンプライアンスの教育とセキュリティのレベルを上げて行っております。(社内であっても、有名人がお客様…というのも秘密です)
これからもっと活動を増やしたいなぁと思ってる芸能人の方やインフルエンサーの方はぜひ、税理士法人YFPクレアにご相談ください!

投稿者・投稿者チーム紹介

- 営業部 ウェブチーム
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趣味はドラクエとSEO。 当初300PVだったこのサイトも今は広告なしで25,000PVを越え、 集客・採用共に好調。 今後はお客様のサイトでも同様の成果を出して儲かってほしい!
最近は「越尾さんにHP頼んでから毎月入会者がいる!」と嬉しい連絡を頂き、HPやSEOのスキルを身に着けて本当によかったです。
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