【ワーケーション】もしも、会社とスキー場のバイトをしたら？副業の妄想と労務

皆さんこんにちは。総務部の山岸です。
忙しい冬がやってきました。
もちろん、税理士業界は所得税確定申告で繁忙期なのは分かりきっていますが、私にとっての冬は「スキーにも行かなきゃいけないし、お正月の箱根駅伝に始まり各種スポーツ観戦もしなきゃいけないし、各オケの新春プログラムも聞きにいかなきゃいけないし！」と……まあとにかく冬は忙しいのです。

そんな忙しい中でも、

コロナで色々変わった時に、弊社でも在宅勤務制度が本格導入されました。
働き方全般を検討した際に「ワーケーション」についても議論しました。

そうです。ワーケーション。
働きながらオフの時間を満喫できる！良いではないですか！

真面目に検討するつもりが、ついつい「冬に、雪山にこもって仕事出来たら最高だなぁ……」と妄想が発動しました。

「土日は混んでるから滑らなくていいから、土日はスキー場で働くことにしてスキー場スタッフの寮に入れたら完璧だなぁ（滞在費を浮かせるため）。平日朝一のピステンバーンを思いっきり滑った後、(税理士法人は)フレックスで10時から18時まで働いて……その後、スキー場でナイター営業バイトを2時間くらいしてもいいし♪わー、どこがいいかなぁ、泊りなら奥志賀とか普段行きづらいところがいいかなぁ……」

と、仕事そっちのけで夢物語を思い描いたところで、急に総務脳が発動しました。

ワーケーションを阻むおなじみで意外な（？）法律

「いや、そうなると……労働時間通算して、労働基準法で定められている1日8時間、週40時間を超えてしまうから、スキー場の方で割増が発生しちゃうなぁ。スキー場の36協定の内容にもよるし……ダメか……」

私の妄想は一瞬で終了しました。

国は、ここ数年、兼業や副業を推進していますが、それが「雇用契約」である場合は、雇われている会社すべての労働時間を通算して「1日8時間」「週40時間」の管理をし、それを超えた労働については割増賃金を労働者に支払う必要があります。
一般的に「雇用契約が後の会社」が支払うことが多いです。

※　兼業副業が「業務委託」や「個人事業主」の場合は通算しません。
※　1日に両社で働いた場合は、雇用契約が先の会社にも割増発生するケースもあります。詳細は厚労省のサイトでご確認ください。
副業・兼業時の労働時間の通算のポイント（PDF）
副業・兼業における労働時間の通算について （PDF）

会社とスキー場のバイトで働いた場合はどうなる？

一例として、先ほどの私の妄想を例にして言いますと、
・税理士法人YFPクレアの雇用契約が先
・スキー場のアルバイト契約が後

で、税理士法人YFPクレアで(月)～(金)で週40時間働いた後、土曜日にスキー場で5時間アルバイトすると、その5時間は週40時間超過分で割増賃金となります。
スキー場のバイト時給が1,000円だとしたら、スキー場は単純に「1,000円×時間数」を支給するのではなく、
「割増賃金（1,250円）×（週40時間を超過した時間数）」で支給しなければならないのです。

しかし……全く縁もゆかりもない二つの会社が、1人の労働者のために勤怠情報を密に連絡とって「この時間分は割増ですね」などと毎月計算することを……やれる余力のある会社がそんなに存在するでしょうか……。
個人情報の問題もあります。
必要な法律ではあるものの現場の負担が大きすぎるがゆえ、雇用でのWワークを認めない(認められない)会社も一定数存在するのは理解できます。

副業の促進を阻害している面も大きいと個人的に常々感じていたところ、ようやく、昨年12月に政府の規制改革推進に関する中間答申(案)で「副業・兼業における割増賃金の支払に係る労働時間の通算管理の在り方の検討」という項目が設けられ、見直しが行われそうです。

それでは、続きはまたの機会に。