この記事は2022年6月に書かれ、2026年7月に再編集されています。
みなさまこんにちは。税理士法人YFPクレアの漫画家チームです。
今回は通常生活でも関わっている消費税について事業者としての側面でお話をしたいと思います。
消費税の基礎知識
漫画家が出版社などから受け取る原稿料や印税は、原則として消費税の対象ですが、消費税の対象になる売上があるからといって、すべての漫画家が消費税を申告・納付するわけではありません。
まずは、消費税の基本的な仕組みと、課税事業者・免税事業者、インボイス制度の関係を確認しましょう。
消費税とは
消費税は、商品やサービスを購入した消費者が負担し、事業者が国に納める税金です。例えば、税抜100円の商品を110円で販売した場合、事業者は代金100円と消費税10円を受け取ります。受け取った消費税10円は売上にかかる消費税から、仕入れや経費として支払った消費税を差し引いて納付します。
漫画家の場合も、原稿料や印税などの売上にかかる消費税から、画材費、外注費、資料代、パソコンなどの経費にかかった消費税を差し引いて計算するのが基本です。
消費税の税率
近年5%から8%そして8%から10%へと消費税率が改正により引き上げられてきていることは多くの方がご存じかと思われます。
ただ、この消費税の税率10%(又は軽減税率8%)というのが実は国の税金である国税と地方自治体の税金である地方税との合計であるということはあまり知られていないかもしれません。
具体的な数値で表すと、
10% =7.8% (国税)+2.2% (地方税)
軽8%=6.24%(国税)+1.76%(地方税)
上記のような割合で分かれていることになります。
ただしこれらは消費税の申告書の計算時以外では基本的に区分する必要はございませんので、あまり意識せずともよろしいと存じます。
消費税の納税義務者
さて、今度は納税義務者についてご説明いたします。
まず消費税の負担者は誰なのかというところからお話しますと、これは最終的な消費者ということになりますので、日本国内にいる全ての人が基本的には対象となります。
例えば100円の商品を購入した場合には、商品の対価100円に加えて消費税10円を加算した金額を販売店へ支払うこととなります。
そして販売店の立場からみると商品の対価100円を受け取ると共に消費者が負担する消費税10円について預かることとなります。
この預かった消費税10円を国に納付する義務を負うのがこの販売店、すなわち我々事業者ということになります。
消費税の負担者 = 消費者
消費税の納税義務者 = 事業者
この様に、税の負担者と納税者が異なるという性質を持つ消費税のような税のことを「間接税」と言います。
これに対し所得税、法人税などの負担者=納税義務者となる税については「直接税」といいます。
課税事業者と免税事業者
消費税を申告・納付する事業者を「課税事業者」といいます。
個人事業主の場合、原則として、前々年の課税売上高が1,000万円を超えると、その年は課税事業者になります。
例えば、2026年分の消費税を納める必要があるかどうかは、原則として2024年の課税売上高で判断します。
一方、前々年の課税売上高が1,000万円以下の事業者は、原則として消費税の納税義務が免除されます。このような事業者を「免税事業者」といいます。
前々年の課税売上高が1,000万円以下でも、次のような場合は課税事業者になることがあります。
・前年の1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円を超えた場合
・自ら課税事業者(インボイス発行事業者)として登録した場合
・相続などにより消費税の納税義務を引き継いだ場合
そのため、「売上が1,000万円以下なら、必ず消費税を納めなくてよい」とは限りません。
インボイス制度と消費税の関係
インボイス制度は、2023年10月1日から始まった消費税の制度です。
取引先が仕入れや経費にかかった消費税を差し引くためには、原則として「適格請求書」、いわゆるインボイスの保存が必要になりました。インボイスを発行できるのは、税務署に登録した「適格請求書発行事業者」だけです。
免税事業者のまま仕事を続けることもできますが、免税事業者はインボイスを発行できません。そのため、出版社や制作会社などの取引先から、インボイス登録について確認されることがあります。インボイス発行事業者として登録すると、前々年の売上が1,000万円以下であっても、原則として消費税の申告・納付が必要になります。
インボイスに登録すると消費税の負担や申告の手間が発生します。
登録するかどうかは、次のような点を踏まえて判断する必要があります。
・出版社や制作会社から登録を求められているか
・取引先が法人中心か、一般消費者中心か
・報酬に消費税分を上乗せできるか
・経費や設備投資がどの程度あるか
・登録した場合の消費税額がいくらになるか
取引先にいわれるまま登録するのではなく、税負担を試算したうえで判断することが大切です。
基礎知識まとめ
漫画家が受け取る原稿料や印税は、原則として消費税の対象です。
ただし、実際に消費税を申告・納付するかどうかは、課税売上高やインボイス登録の有無などによって異なります。
- 前々年の課税売上高が1,000万円を超えると、原則として課税事業者になる
- 売上が1,000万円以下でも、一定の条件に該当すれば課税事業者になる
- インボイス発行事業者に登録すると、売上が1,000万円以下でも原則として消費税の申告が必要になる
「開業から2年間は必ず消費税がかからない」「売上が1,000万円以下なら関係ない」とは限りませんので、注意しましょう。
消費税の対象となる取引
さて、続いては消費税の対象となる取引についてお話させていただきます。
消費税の対象となる取引とは、下記の4要件を全て満たす取引をいいます。
- 国内において行う
- 事業者が事業として行う
- 対価を得て行う
- 資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供
【要件1】国内において行う
これは日本国内において消費等されるものについて消費税を課税するという性質から、日本国外での取引であった場合には課税しないということになります。
日本国内の出版社から受け取る印税等の先生方の売上についてはもちろん国内取引に該当します。
【要件2】事業者が事業として行う
先生方は個人事業主又は法人として「事業者」に該当することとなります。
次に、法人が行う活動については全て「事業として」に該当し、個人事業主であれば【対価を得て行う】取引を反復継続し、かつ独立して行うものについては「事業として」に該当することとなります。
個人が事業とは関係のないような生活動産、趣味で集めているようなものを売却したというような場合には事業者が事業として行う取引に該当しないため消費税の課税の対象とはなりません。
【要件3】対価を得て行う
「対価を得て行う」とは、反対給付としての対価を受け取る取引のことをいいます。
印税や原稿料などについては先生方の著作物を出版社が使用することに対して使用料として反対給付を金銭で受け取っていることになり「対価を得て行う」取引に該当することとなります。
この「対価を得て行う」取引に該当しない例として寄付金がございます。
寄付により金銭等の支出があった場合において、その寄付を受け取った者からは何ら対価を受け取ることはありませんので「対価を得て行う」取引には該当せずに消費税は課税されないこととなります。
【要件4】資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供
資産の譲渡及び貸付(以下「資産の譲渡等」)とはその名の通り、ある資産を譲渡(販売等)したり貸付を行う取引を言います。
製本された書籍を直接販売する行為やレンタルする行為などが該当します。
役務の提供とは一般にサービスの提供をいい、印税や原稿料などの著作物の利用に関するものはこちらに該当することとなります。
ただし、著作権そのものを譲渡するといった場合には「資産の譲渡等」に該当することとなります。
さて、具体例を交えながら消費税の課税取引となる4要件を解説してきましたが、先生方の売上については基本的に上記4要件全て該当することになりますので消費税の課税対象の取引ということになります。
※電子書籍を海外でダウンロード販売するなど国内取引に該当しない例もあります。
詳しくは「電気通信利用役務の提供」に係る内外判定基準をお調べいただくか、YFPクレアにご相談ください。
逆に消費税非課税の主な非課税取引
主な非課税取引を、分かりやすく一覧にまとめました。
これがすべてとは言えませんが、おさえておくべき取引についてはまとまっていますので、ぜひ参考にしてみてください。
主な非課税取引一覧
- 土地の譲渡及び貸付け
- 有価証券等の譲渡
- 支払手段の譲渡
- 日本郵便株式会社などがおこなう郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡
および地方公共団体などが行う証紙の譲渡 - 国等が行う一定の事務に係る役務の提供
- 外国為替業務に係る役務の提供
- 社会保険医療の給付等
- 介護保険サービスの提供等
- 社会福祉事業等によるサービスの提供等
- 助産
- 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
- 一定の身体障碍者物品の譲渡や貸付け等
- 学校教育
- 教科用図書の譲渡
- 住宅の貸付
漫画家のみなさまに関わりのありそうな非課税取引
この非課税取引のうち、特に漫画家のみなさまに関わりのありそうなものについて少し解説してみます。
漫画家のみなさまに関わりのありそうな非課税取引
- 預貯金の利子および保険料を対価とする役務の影響等
銀行等に預けている預貯金に対する利子や貸付金に係る利息は非課税となります。
また保険料、保険料に類する共済掛金についても非課税となります。 - 日本郵便株式会社などがおこなう郵便切手類の譲渡等
実は郵便局で購入する切手については購入した時点では非課税となります。
ただし購入した切手を使用して郵送等を行うと消費税の課税取引として認識されます。
また、切手類が非課税となるのは郵便局などの本来の販売所のみであり、金券ショップで購入した場合には課税取引となるなど少しややこしい取引ですね。 - 住宅の貸付
これが一番身近に感じるかもしれません。通常物品等の貸付料などには消費税は課税されますが、住宅の貸付については非課税として規定されています。
通常生活の様に供する住宅の貸付に限られますから、事務所や店舗としての貸付される場合には消費税は課税されます。
おわりに
今回は消費税の基礎知識から非課税となる取引までについてをお話をさせていただきました。
次回の消費税の計算について影響のある内容となっておりますので是非続けてご覧いただければ幸いです。
次回もどうぞよろしくお願いいたします。
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