はじめに

みなさまこんにちは。税理士法人YFPクレアの中村です。
今回は時期は過ぎてしまいましたが、振り返りも兼ねて年末調整についてご説明させていただきます。

年末調整とは

年末調整とは事業者が役員や従業員の給与に係る所得税についてそれらの者に代わって1年分の所得税額を計算する簡易的な確定申告のような手続きです。「簡易的な」と表現したのは年末調整では対象とすることのできない税額計算が存在するためです。
例)医療費控除、寄付金控除、他の所得との合算など

年末調整の対象者

年末調整の対象者とは、役員や従業員として給料をもらっている人で、年末調整計算を行う日までに一定の書類(いわゆる〇扶)を提出し在籍している者を言います。
ただし。次の事項に当てはまる方を除きます。
※国外転出などの年の中途で行う場合について省略

  • 1年間に支払うべきことが確定した給与の総額が2,000万円を超える人
  • 災害減免法の規定により、その年の給与に対する所得税および復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予や還付を受けた人

一定の書類(いわゆる〇扶)について

一定の書類(いわゆる〇扶)についてですが、正式には「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」といい、書類の右上にある〇の中に扶養の扶の字が記載されていることから、業界的には〇扶(まるふ)と呼ばれています。

これはその年分の年末時点における扶養親族等の状況の記載や、住所氏名生年月日等の本人情報の記載をする書類なのですが、提出することができるのはメインで働いている職場の事業主に限ります。
掛け持ちで複数の職場がある人の場合には2か所目以降の職場にはこの〇扶の提出ができないため2か所目以降の給与について年末調整の対象者となることができません。
そのような人の場合、1か所目の職場での年末調整後の源泉徴収票と、2か所目以降の年末調整がされていない源泉徴収票とを合算して、自分で確定申告を行う必要があります。

年末調整で計算できるもの

年末調整では以下の書類に基づきそれぞれの所得控除額を計算して1年間の所得税額を計算することとなります。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 扶養控除
    (扶養している親族等の年齢や人数などによる控除計算)
  • 配偶者控除
    (一定の所得以下の配偶者を扶養している場合の控除計算)
    ※配偶者控除等申告書の記載の確認が必要
  • その他障がい者控除、寡婦控除等
    (条件に当てはまる場合のみ)
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 生命保険料控除
    (生命保険料控除証明書の記載金額に基づき控除計算)
  • 一般の生命保険料
  • 介護医療保険料
  • 個人年金保険料
  • 地震保険料控除
    (地震保険料控除証明書の記載金額に基づき控除計算)
  • 社会保険料控除
    (国民年金の控除証明書や領収書、国保の領収書等をもとに控除計算)
  • 国民年金の支払額
  • 国民健康保険料の支払額
  • 小規模企業共済等掛金控除
    (小規模企業共済、iDeCo、企業型確定拠出年金などに係る掛金を記載したそれぞれの控除証明書に基づいて控除計算)
  • 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • 基礎控除
    (本人の所得見積額に基づいて控除計算)
  • 配偶者控除(又は配偶者特別控除)
    (本人と配偶者それぞれの所得見積もりに基づいて控除計算)
  • 所得金額調整控除
    (本人の給与収入見積もり額と、本人又は扶養親族の状況に基づいて控除計算)
  • 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書(いわゆる住宅ローン控除)
    (年末借入金残高や土地建物の取得金額をもとに控除計算)
    ※住宅ローン控除の用紙は事業主等からは配られないので役員、従業員自身で用意する必要がある。また借入初年度は必ず確定申告による計算が必要。

年末調整の流れ

事業者として行うべき年末調整の手続きの流れとしては以下の様になります。

  • 〇扶その他年末調整に必要な5.の書類を役員、従業員へ配布する
  • 回収した①の書類に必要事項の記載と添付が必要な控除証明書の確認をする
  • 年末調整計算を行い各人の当年分の所得税額を確定させる
  • ③で確定した各人の所得税額と1年間で源泉徴収した所得税額との差額を算出する。
  • ④の差額について徴収不足なら追加徴収、徴収過剰なら還付する。
    以下のパターンがあります。
    ・12月の最後の給与と一緒に加減算するパターン
    ・12月の最後の給与とは別に徴収、還付を行うパターン
  • 1月10日まで(納期の特例対象の場合1月20日まで)に年末調整計算を基にした源泉納付額を納める。

まとめ

  • 年末調整とは事業者が従業員等の当年分の所得税額を計算する簡易的な確定申告のようなもの。
  • 一部年末調整の対象者とならない人は、別途自分で確定申告が必要。
  • 様々な控除額計算ができるが、年末調整では計算できないものについては別途確定申告が必要。
  • 事業者としては特に、上記の年末調整の流れについてを抑えていただき、1月10日(又は1月20日)までに源泉納付があることを覚えておく。

おわりに

説明の中では特に専門用語が多く、ご理解しづらい部分もあったかと思います。
また漫画家のみなさま特有の事項というのも特になく、給与支払のない先生の場合には馴染みの薄い内容となってしまい申し訳ありません。
年末調整は年に1度の手続きのため多くの方が何をしているのかお忘れになることかと存じます。
弊社顧問先様の多くが年末調整計算についても外部委託としてYFPクレアの年末調整サービスをご利用いただいております。
ご不明点やご相談があれば是非税理士法人YFPクレアへ。

投稿者・投稿者チーム紹介

四谷監査2部2課 漫画・芸能チーム
四谷監査2部2課 漫画・芸能チーム
クリニックや漫画家、芸能人…と様々な業種のお客様を担当するチーム。
好き!応援したい!という純粋な気持ちを仕事につなげて
それぞれ特有の税務の勉強もしています。

チーム全体としては、給与計算が得意。
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