こんにちは、公認会計士の岡﨑です。

今回は社会福祉法人において開示される計算書類について解説をします

社会福祉法人においては営利法人の採用する企業会計基準と名称が異なってはいますがおおよその内容は同じものとなっております

社会福祉法人の開示計算書類

  • 貸借対照表 :一定時点における財政状態を表す計算書。これは営利法人と同じです
  • 事業活動計算書 :一定期間における経営成績を表示する計算書。これは営利法人において損益計算書とほぼ同じ内容になります
  • 資金収支計算書 :一定期間における支払資金の流入と支出を表示する計算書。これは営利法人においてキャッシュ・フロー計算書とほぼ同じ内容になります。

その他計算書類においては「財産目録」という資産および負債についての明細を開示することになります。

貸借対照表について

社会福祉法人会計基準では貸借対照表について「貸借対照表は、当該会計年度末現在における全ての資産、負債及び純資産の状況を明瞭に表示するものでなければならない」と定義しています。

 貸借対照表は英語ではBalance Sheet (B/S)と表記されますがその通り貸借がバランスしていないといけません。以前社会福祉法人の研修を受講したときに講師の先生が公開されている法人の計算書類をチェックしてみたら貸借が一致していないB/Sが結構ある、と聞いて驚いたのですが会計ソフトの設定上?間違えて一致していないままのB/Sを私も見たことはあります。。。

脱線しましたが資産と負債については社会福祉法人会計基準において設定されている科目を使う、ということ以外は特段表示内容について企業会計と異なる概念はほぼないのですが純資産の部については「基本金」と呼ばれる資本金のようなものが設定されます。

 「基本金」とは社会福祉法人が事業開始等にあたって財源として受け入れた寄附金の額を計上するものとされています。

具体的には

  • 社会福祉法人の設立並びに施設の創設及び増築等のために基本財産等を取得すべきものとして指定された寄附金の額…第1号基本金
  • 前号の資産の取得等に係る借入金の元金償還に充てるものとして指定された寄附金の額…第2号基本金
  • 施設の創設及び増築時等に運転資金に充てるために収受した寄附金の額…第3号基本金

の3つに分類されます。

さらに純資産の部に計上されるものとしては

・国庫補助金等特別積立金

  施設及び設備の整備のために国や地方公共団体等から受領した補助金等

・その他の積立金

  理事会決議に基づき、将来の特定の目的に備えるため繰越活動増減差額からの積立金額

・次期繰越活動増減差額

法人が蓄えた増減差額のうちその他の積立金として目的が付されていないもの

があります。

目的及び用途によって積立場所が決まっているという点がかなり固い縛りにはなっています。また今回はざっくりと大枠を記載してみましたが各項目についても細かく検討すべきこともありますので今回は企業会計との違いについてのみフォーカスを当ててみました。

 特に設立直後の社会福祉法人においては基本金の計上方法については難しい点が多いと思います。 そのような場合はぜひ税理士法人YFPクレアまでお問い合わせください。

次回は事業活動計算書について記載していこうと思います。

事業活動計画書について

社会福祉法人会計基準では、事業活動計算書について「事業活動計算書は、当該会計年度における全ての純資産の増減の内容を明瞭に表示するものでなければならない。」と定義しています。
一般事業会社においてもそうですが、この事業活動状況は現場管理上でも重要視される項目となっています。
事業活動計算書は「当年度決算」を「前年度決算」と比較する形で表示され、前年度との差額が「増減」によって表示されます。

さらに事業活動計算書を細かく見ていくと一般事業会社の損益計算書で営業活動にあたる損益が「サービス活動増減の部」においてサービス活動収益とサービス活動費用の差額をサービス活動増減差額として表示されます。
続いて営業外活動にあたる損益が「サービス活動外増減の部」においてサービス活動外収益とサービス活動外費用の差額をサービス活動外増減差額として表示されます。
その下にはサービス活動増減差額とサービス外活動増減差額を集計した経常増減差額が表示されます。

さらにその下に特別損益計算を計上し、「当期活動増減差額」が表示されます。
特別損益のうち収益に計上されるのは施設整備等に係る寄附金、国庫補助金等の収益、固定資産売却等に係る収益その他の臨時的な収益が挙げられ、費用に計上されるのは基本金の組入額、国庫補助金等特別積立金の積立額、固定資産売却等に係る損失その他の臨時的な損失が挙げられます。
基本金については貸借対照表の説明でも記載していましたが、基本金対象となる寄附金を受け入れた場合はその寄附金を事業活動計算書の特別収益に計上した後、その収益に相当する額を基本金組入額として特別費用に計上します。
この辺りは社会福祉法人特有の処理になっているところです。

とはいえ、計算書類の表示形式的にはここまでは比較的損益計算書に近い形になります。

最後に「繰越活動増減差額の部」といういわゆる繰越利益剰余金の計算表が表示されます。

これを計算することで純資産増減とのリンクが完了します。

繰越活動増減差額の部での計算方法については
 前期繰越活動増減差額+当期活動増減差額+基本金取崩額+その他の積立金取崩額-その他の積立金積立額 = 次期繰越活動増減差額
 となります。

また今回はざっくりと大枠を記載してみましたが、各項目についても細かく検討すべきこともありますので、今回は企業会計との違いについてのみフォーカスを当ててみました。

 特に設立直後の社会福祉法人においては使用できる勘定科目や計上方法、基本金回りの取り扱いについては難しい点が多いと思います。 
そのような場合はぜひ税理士法人YFPクレアまでお問い合わせください。

資金収支計算書とは

社会福祉法人会計基準では資金収支計算書について
「資金収支計算書は、当該会計年度における全ての支払資金の増加及び減少の状況を明瞭に表示するものでなければならない。」
と定義しています。

資金収支計算書は当該会計年度の「決算」の額を「予算」の額と対比して記載します。
この場合「予算」欄に記入する額は当初予算額ではなく、最終補正予算額になります。なお、差異は「予算-決算」によって算出されます。

資金収支計算書の区分としてはまず「事業活動による収支」があり次に「施設整備等による収支」、その次に「その他の活動による収支」があります。
それぞれ各段階での収支差額を計算しこれに前期末支払資金残高を加えることで当期末支払資金残高を計算します。

資金収支計算書は社会福祉法人会計に初めて触れる際に最も一般会計との乖離を感じるところかもしれません。
資金収支計算書においては資金の増加を収入、資金の減少を支払として表されます。

社会福祉法人会計では、資金収支計算書を作成するために通常の会計帳簿を作成しながら資金帳簿を作成することになります。
ただ、一般的な経理ソフトにおいては、この資金帳簿については自動で作成されますのでいちいち仕訳を起こす必要はないのですが、資金取引と非資金取引について細かな修正は必要になることもありますので、何が資金取引で何が非資金取引なのかについてはしっかりと認識しておく必要があります。

 資金収支仕訳は以下のようなイメージになります

<収入仕訳> 
 (借方) 支払資金 ××  (貸方) ○○収入 ××

<支出仕訳>
 (借方) ○○支出 ××  (貸方) 支払資金 ××

上記のように、収入が起こった時には支払資金の増加、支出が起こった時には支払資金の減少を認識することになります。

資金収支計算書における支払資金の範囲

次に資金収支計算書における支払資金の範囲を見ていきます。

資金収支計算書の支払資金とは、経常的な支払準備のために保有する現金及び預貯金、短期間で回収されて現金化される未収金、立替金、有価証券等、仮払金等、短期間で決済される未払金、預り金、短期間のうちに事業活動収入として処理される前受金等の流動負債等をいいます。
ただしここで棚卸資産や引当金等、また1年基準により固定資産や固定負債から振り替えられた流動資産や流動負債は除かれることになります。
つまり支払資金の残高はこれらの流動資産と流動負債の差額ということになります。

おわりに

今回はざっくりと大枠を記載してみましたが具体例や誤りやすい取引についても多くあります。
特に設立直後の社会福祉法人においては各勘定科目の設定や予算の取り方などなじみのない資金収支周りで取り扱いについては難しい点が多いと思います。そのような場合はぜひ税理士法人YFPクレアまでお問い合わせください。

次回は資金収支計算書の取引について具体例を挙げて記載していこうと思います。

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2部3課 社会福祉法人チーム
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