みなさんこんにちは、社会福祉法人向けのコラム担当の岡﨑です。

以前の掲載コラムにて、厚生労働省より公表されている「社会福祉法人経理事務マニュアル」の説明をさせていただいております。
今回はその「社会福祉法人経理マニュアル」に沿って計上された仕訳を、我々会計事務所がどのような点をチェックするのかについて、いくつかの項目に分けて説明をします。
会計事務所がチェックする事項というのはすなわち指導監査をクリアするためのポイントであり、法人の内部管理体制の課題となりやすいところになります。

今回のコラムでは会計処理に限定したポイントの解説をしますので「規程等の整備や帳票の保管は適切になされており、会計システムも整ったもの」という前提のもとで解説していきます。ご了承の上ご覧くださいませ。

現金管理

  • 現金の入出金につき入出金のあった日は必ず現金の実査がなされ、現金種別集計表に記載がなされているか。
  • 現金(小口現金)出納帳は作成されているか
  • 残高把握について、現金出納帳と現金種別集計表へ管理者の確認が押印等の形で残されているか。
  • 小口現金管理について経理規程にしたがったものであるか(1回あたりの出金額や保有上限を超えたものになっていないか)。
  • 切手や収入印紙を保有している場合、受払帳が作成され記録された残高と現物の一致を確認しているか。

【ありがちなミス】

現金実査残高と帳簿残高の不一致(現金過不足の発生)、領収書等の紛失、経理規程を超えた現金保有

預金管理

  • 通帳の名義は適切か。
  • 年度末においては残高0のものも含めすべての口座の残高を残高証明等によって確認できるものとなっているか。
  • 毎月末において通帳残高と会計帳簿の一致を確認しているか。
  • 通帳は管理者によって適切に管理されているか。

【ありがちなミス】

預金残高と帳簿残高の不一致(主に記帳のミス)、期末の残高証明書との不一致(時間外預入等)

固定資産管理

  • 固定資産の購買の際には納品書と現物と発注書の突合をしているか。
  • 取得にあたっては見積書(金額によっては相見積の入手)、稟議書の作成、承認手続きが行われているか。
  • 固定資産の取得は発生主義によって計上されているか。特に期末をまたぐ場合適切に費用の未払が計上されているか。
  • 固定資産の現物に管理No等の照合できるものが貼付されているか。
  • 固定資産の実地棚卸は行われているか。
  • 減価償却費及び国庫補助金等特別積立金取崩額が適切に計算されているか。

【ありがちなミス】

見積書の変更や追加工事があった場合の証憑未保管、工事請求書の金額総額による資産計上(請求明細書を入手しなかったことによる資産計上額集計と按分のエラー)、固定資産の適用耐用年数の間違い、計上額10万超の固定資産を経費処理してしまう、固定資産台帳の記載において異なる拠点に計上してしまう、処分済み資産を台帳上残したままにしてしまう。

人件費

  • 人事管理システムへの職員情報の登録と更新は適時に遅滞なく行われているか。
  • 給与計算結果について上長が確認・承認を行っているか。
  • 給与台帳と会計処理の一致は確認しているか。給与台帳は適切に保管されているか。
  • 賞与引当金は適切に計上されているか。
  • 賞与引当金の計算は適切に行われており、実際の支給額と整合しているか。
  • 退職給付引当金は退職金規定と整合しているか。

【ありがちなミス】

初期登録エラーによる源泉税計算や社会保険料計算のミス、福祉医療機構や都道府県ごとの退職共済制度などの制度ごとの会計処理との不一致。

その他全般事項

  • 会計伝票が会計責任者の承認を受けているか。経理証憑は会計伝票と紐づけされ、適切に保管されているか。
  • 月次試算表、決算書は会計責任者の承認を受けているか。

おわりに

上記のようなミスは、特に小規模社会福祉法人においてはどうしても発生してしまいがちなものではありますが、会計事務所と一緒にチェック体制を整えていくことでミスを限りなく0に近づけていくことは十分に可能です。
会計指導サポートをご希望される法人様、ぜひ弊社までお問い合わせください。

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投稿者・投稿者チーム紹介

2部3課 社会福祉法人チーム
2部3課 社会福祉法人チーム
社会福祉法人やNPO法人など、特殊会計チーム。
保育園や介護施設などの会計を得意としています。
勉強家が多く、お客様のニーズと法律に真摯に取り組む姿が気に入られ
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