※この記事は2023年2月に書かれたものです。
みなさまこんにちは。税理士法人YFPクレアの村上です。
このコラムでは医療法人についてご説明していきたいと思います。
皆様の今後の経営について、少しでもお役に立てれば幸いです。
前回、医療法人の種類、【財団たる医療法人】【社団たる医療法人】についてお話させていただきました。
今回は、【社団たる医療法人】は「持分の有無」によってさらに2種類に分けられますので、どんな違いがあるかを見ていきます。
「持分」とは、医療法人の財産についての権利です。
ですので、社団たる医療法人を2種類に分け、わかりやすく示すと、以下の通りになります。
- 持分のある医療法人=財産権のある医療法人
- 持分のない医療法人=財産権のない医療法人
しかし、現在(平成19年4月以降)は医療法が改正され、持ち分のある医療法人を設立することはできなくなりました。
では、財産権がある医療法人とない医療法人で何が違うのかというのを挙げていきたいと思います。
1.医療法人の解散
医療法人が解散となった場合を考えます。そこに残っている財産は誰のものになるでしょうか。
持分のあるなしで見てみます。
- 【持分のある医療法人】 出資者に返還されます。
- 【持分のない医療法人】 財産の返還は受けることができず、すべて国に帰属します。
2.医療法人の持ち分の買い取り請求
例えば、友人のドクターと二人で半分ずつ(50:50)お金を出し合い医療法人を設立。
しかしその後、経営方針の違いによって1人が辞めることとなりました。
この場合、辞めるドクターにいくらお金を払わなければならないでしょうか。持分のあるなしそれぞれで考えます。
- 【持分のある医療法人】 財産の半分を支払う必要があります。
もともと財産の半分は辞めるドクターの財産だったので、返還を求められれば返さなければなりません。 - 【持分のない医療法人】 就業規則に従って退職金を支給します。
それ以外は、極端に言えば1円も払わなくてもよいのです。「持分=医療法人の財産権」なので、持分がなければ、権利もありません。
3.出資者が死亡した場合
出資したドクターが死亡した場合、医療法人の権利は相続人に相続させることはできるのでしょうか。
こちらも持分のあるなしで分けてみます。
- 【持分のある医療法人】 相続は可能です。また、相続人がドクターでなくても相続することができます。
ただ、相続できるということは、相続税の課税対象となってくるのです。
相続税はキャッシュで支払わなければならないため、医療法人から払い戻しを受けないと相続税を納めるのは厳しいです。 - 【持分のない医療法人】 相続は不可能です。そもそも持分がありませんので、相続も何もありません。
医療法の改正で平成19年4月を境に、医療法人でも上記のような違いが出てきています。※令和5年2月1日現在法令等によるものとなります。
おわりに
今回は【社団たる医療法人】について、その持分のあるとなしでの違いを見てみました。
次回は、【持分のある医療法人】から【持分のない医療法人】への移行についてお話させていただきたいと思います。
税理士法人YFPクレアには法人個人問わず、医業に特化した担当者が多く在籍しておりますので、気になることがありましたらお問い合わせいただけましたら幸いです。
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