こんにちは、監査部佐藤です。
以前から、複数回にわたって創業前に確認すべきこと、知っておくべきことについてお話してきました。
いよいよ最後のポイント、「⑹いくら稼げばあなたの医院は継続するのか」のお話になります。
こちらは少々複雑になりますので、前後編に分けてお話していきます。
売上目標は必ずたてる
開業にあたって、売上の目標をたてる必要があるのはわかると思います。
これは、勤務医時代にはなかった裕福な生活を手に入れるためのものを想定されるのがよろしいかと思います。
また、一方で、最低限必要な売上も把握してほしいと思います。
医院の経営は原則、資金の増減で考えて良い
タイトルの“いくら稼げればあなたの医院は継続するのか”ですが、当然、医院によって変わってきます。
しかしながら、下記の考え方を知っていればおおよその把握はできると思います。
{(家賃、スタッフ給与、借入金やリース負債の返済額と利息等の毎月の支出)+先生の生活費+納税資金}÷0.75
※なぜこういう算式になるのかは、少々複雑なお話になりますので今回は省きます。
おおよそ一般的な個人医院での目安は年間売上2,000万円、年間診察数1,818件といったところですが、医院によって差が出るのでここは個別ご相談ください。
※顧客単価につきましても、請け負う診療の範囲によって違いがありますので単純には言えませんが、一診察あたり9,000~13,000円になると思います。私の肌感覚でいうと11,000円が平均です。
上記がプラスになり、かつ、損益計算書も黒字ならとりあえずは大丈夫です。
損益計算書は、ざっくりいうと上記の算式の“借入金の返済額”を減価償却費に代えたものです。
開業間もないころの借入金やリース負債の返済額は約200~400万円、減価償却費は500~650万円くらいだとイメージしてください。
目標は年間で達成出来ればいい
動物病院は季節変動の大きなビジネスです。
一般的に春から夏にかけて大きく稼ぎ、秋から下降して冬は閑散期に入ります。
例えば、売上目標を3,000万円とした場合、
3,000万円÷12月=250万円
となります。
月当たり250万円の売上が必要ということになりますが、1月や2月で250万円を下回ったからと言って慌てる必要はありませんし、逆に4月が250万円ならちょっとマズい、ということになります。
このあたりの感覚は、創業年度で掴むのはなかなか難しいようです。
2年目以降は、前年同月との比較ができるようになりますので、経営状況の把握は幾分楽になります。
先生ご自身が会計の専門性を保つ必要はない
医院の経営がスタートすると、毎月一回か少なくとも数ヶ月に一回、“試算表”を作成し、税理士事務所の担当者とお打合せをするのが一般的です。
試算表というのは、医院の「ある時点の財務状態(資産がいくらで、負債がいくらある)」と「ある期間の経営成績(売上がいくらでコストがいくらで、利益がいくら)」を集計したものです。
さて、この試算表というのは会計や税務のルールにしたがって作られますので、一般的な“儲かっている、儲かってない”という感覚と結構ズレがあります。
例えば、試算表のなかで資産の項目に記載される医院の内外装設備や医療機械の金額は、売却した場合の金額(時価)などではなく、
“税務や会計のルールによって、まだ必要経費にしていない残額=これから経費にできる金額”
です。
これは一般的な意味での資産とは全然意味が違いますよね。
こういった要素がいくつかありますので、試算表だけで先生ご自身が経営の安全性等を知るのは困難です。
もちろん、試算表や決算書を先生と自身が読み取れるなら、これに越したことはありません。
しかしこれは簡単なことでなく、また、勉強し続ける必要もあります。誰でも“思考のクセ”のようなものがあり、税務会計の基本的な考え方がどうにもご自身の肌に合わない先生も多くいます。
これは、よく言う頭の良し悪しというのとは全く別の話です。
おそらく、ほとんどの先生が税務会計の考え方は苦手であると思います。
なので、この点は税理士事務所の担当者の力を借りてください。これは税理士法人としての営業トークでもなんでもありません。
この分野は、専門家を頼るほうがずっとコストパフォーマンスが良いはずです。
動物病院経営は、当初の1年目は資金の悩み、2年目以降は人材の悩み
いくら稼げばあなたの医院は継続するのか、というテーマでお話させていただきました。
しかしながら、動物病院経営は数字で現れる経営面において、安全性はかなり高いビジネスです。
少なくとも私がお付き合いさせていただいている医院については、資金繰りに詰まっている医院はありません。
創業年度や2年目くらいまでは多少不安がありますが、3年目以降は安定します。
動物病院経営の悩みは、お金よりも、人材です。
これはまた次回お話します。
次回は
スタッフ問題 ~最も経営者・スタッフ間にギャップのある業種かもしれない~
についてお話します。
話してほしいテーマ、個別の相談があればお気軽にお問い合わせ下さい。
次回もお楽しみにお待ちください。
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投稿者・投稿者チーム紹介
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フランチャイズの税務を得意とする3部。
創業融資からサポートをはじめて、無理なくできる返済スケジュールや役員報酬まで創業時にまつわるお金のエキスパート!
創業期サポートの誠実さはもちろん、フランチャイザーとの協力で低価格・高品質なサポートを行い、お客様から高評価を頂いている。
フランチャイズとは全く関係ないが、動物好きが集まっていることから動物病院の税務にも力を入れている。税務を通して動物愛護中。
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