※この記事は2023年3月に書かれたものです。
みなさまこんにちは。税理士法人YFPクレアの村上です。
このコラムでは医療法人についてご説明していきたいと思います。
皆様の今後の経営について、少しでもお役に立てれば幸いです。
前回、【持分のある医療法人】と【持分のない医療法人】の違いにについて説明させていただきました。
両方にメリット/デメリットがありますが、今回は特に【持分のある医療法人】の問題点と【持分のない医療法人】への移行についてお話させていただきます。
【持分のある医療法人】の問題点
【持分のある医療法人】には問題点を2つ挙げることができます。
問題点1 返還義務に応じるためのキャッシュが不足しやすい
持分=財産権と置き換えて説明してきましたが、前回買い取り請求があった場合には出資割合に応じて返還義務が生じます。
しかし、医療法人はすべての財産をキャッシュで持っているわけではありません。クリニックの建物や医療機器等の設備も含まれます。
出資割合に応じて返還する場合には、キャッシュの準備が必要となります。
それが用意できないとなった時、最悪の場合は設備の売却や保険の解約等でキャッシュを用意しなければならなくなります。
問題点2 法人を相続する時の相続税が莫大
前回お話しましたように、【持分のある医療法人】は相続させることが可能ですが、その場合は多くの相続税がかかってきます。
亡くなったドクターの資産が相続税を払えるだけのキャッシュがあればいいのですが、実際には、そこまでのキャッシュの準備をしている方はほとんどいませんし、相続人も相続税を払えるだけのキャッシュがすぐには用意できません。
そうなりますと、問題点1のように、医療法人に払戻請求をすることとなり、結果として医療法人の財産が減ることとなってしまいます。
持ち分ありからなしへの移行
上記のような問題があるため、平成19年4月の法改正で【持分のある医療法人】の設立はできなくなりました。
とはいえ、まだまだ【持分のある医療法人】は存在します。
そこで、【持分のある医療法人】→【持分のない医療法人】へ移行することを進めています。
なぜなら、上記しましたように資金難や経営難により医療法人が無くなってしまうことを防ぐためです。
移行の手続きは定款を変更する
移行手続きは、定款変更がメインです。
現在の医療放任の定款に挙げられている、
- 「医療法人を解散させた場合には、出資者に財産を返還する」
- 「医療法人の出資は出資した割合に応じて、財産の返還を受けることができる」
といったような部分を削除します。
その後、新しい定款(文言削除後の定款)を都道府県に申請し、都道府県から認可を受ければ【持分のない医療法人】へ移行できます。
次回は【持分のない医療法人】へ移行後、発生してくる税金についてお話しさせていただきます。
税理士法人YFPクレアには法人個人問わず、医業に特化した担当者が多く在籍しておりますので、気になることがありましたらぜひお問い合わせください。
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投稿者・投稿者チーム紹介
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