こんにちは、税理士法人YFPクレア 社会福祉法人担当者です。
社会福祉法人の経理では、一般企業の経理とは異なり、会計責任者、出納職員、予算管理責任者、固定資産管理責任者など、法人内で役割を分けて処理することが求められます。
また、決算後には監事監査、理事会、評議員会、現況報告書の提出、資産総額の登記など、社会福祉法人特有のスケジュールもあります。
この記事では、小規模社会福祉法人の経理担当者向けに、経理事務の基本的な体制と、1年間の主なスケジュールを解説します。
小規模社会福祉法人内の経理体制
まずは、理事長は法人内の職員から以下の経理担当者を任命します。
会計責任者・・・法人の経理事務の責任者です。
⇒法人で1人でも可能ですが、各施設(拠点区分)ごとにその責任者を配置するのが一般的でしょう。
出納職員・・・会計責任者に代わって、一切の経理事務を行わせるために配置します。
⇒日常の経理を実際に行うのが出納職員です。出納職員が経理作業を行い、会計責任者は指示とチェックを行うという役割分担をします。これは内部牽制を行うためという意味があります。つまり、間違いや不正を招かないようにということです。
予算管理責任者・・・予算の編成ならびに予算の執行および管理について理事長を補佐します。また、会計責任者は予算管理責任者を兼務できます。
⇒社会福祉法人は活動資金の多くを公金により工面しています。よって、予算管理は重要です。詳細は「第3章予算事務」でご紹介します。
固定資産管理責任者・・・固定資産の管理を行います。
⇒社会福祉施設を運営するには数多くの固定資産を取得し活用することが必須です。それだけ多額の設備投資が必要であり、その管理も重要です。
よくある相談
小規模な社会福祉法人では、十分な人数を配置できず、複数の役割を兼務せざるを得ないこともあります。
その場合でも、支払承認、現金管理、会計入力、残高確認をすべて同じ人だけで完結させないよう、できる範囲でチェック体制を作ることが大切です。
たとえば、日常の入力は出納担当者が行い、月次で会計責任者や施設長が通帳残高・現金残高・試算表を確認するだけでも、不正やミスの防止につながります。
2.会計帳簿・帳票について
会計帳簿は拠点区分ごとに作成し、備え置きます。
具体的には以下の通りです。
主要簿・・・仕訳日記帳、総勘定元帳
補助簿・・・小口現金出納帳、固定資産管理台帳、基本金台帳、寄付金台帳
⇒その他にも経理規程に記載して、備え置くことができます。
その他の帳簿・・・会計伝票、月次試算表、予算管理表など
⇒こちらも必要に応じて経理規程に記載し、備え置くことができます。
会計に関する書類の保存期間は以下の通りです。
・計算関係書類 10年
・財産目録 5年
⇒決算時に作成します。詳細は第9章でご紹介します。
・主要簿、補助簿、その他の帳簿 10年
・証憑書類(請求書、領収書等の原本) 10年
経理事務のスケジュールは?
今回は、「小規模社会福祉法人の経理事務スケジュール」を見ていきましょう!
1.経理事務の年間スケジュール
年間を通じて、忙しいのは年明け1月から6月にかけてです。
今回はそこにスポットを当てます。
<1月>
●年末調整、源泉徴収票の発行、源泉所得税の納付、法定調書・給与支払報告書の提出
⇒社会福祉法人では税務に関してお話することは少ないのですが、唯一、注意しなければならないのは職員給与などから生ずる源泉所得税です。多くの法人では役員、正規職員、パート職員までたくさんの職員を抱えて業務を行っていますのでそれだけ処理すべき件数は多く、納付すべき税額は大きくなります。社会福祉法人に対して税務署は法人税や消費税ではなく源泉所得税のみをターゲットに調査することがあります。油断していると何度も調査の対象となる可能性もあるでしょう。
<2月~3月>
●当年度補正予算および来年度予算案の作成
⇒これも非常に大事なプロセスです。特に来年度予算案は当年度内に理事会(場合によっては評議員会でも)で承認されなければなりません。3月に理事会や評議員会を開催するにしても予め議論の対象である予算案は書面で会議の構成員に示しておくことが一般的です。逆算すれば、やはり2月から補正予算も含め、予算編成を行うべきでしょう。
詳細は「第3章予算事務」でご紹介します。
<4月~6月>
●決算業務(決算処理、固定資産管理台帳の見直し、附属明細書等の作成)
⇒決算日(3月31日)を過ぎれば、いよいよ決算業務開始です。とはいえ、通常業務をこなしながら決算を行うのは過重労働といっても言い過ぎではありません。しかも決算時にしか出てこない処理も含め正確に処理し、固定資産管理台帳や未収金台帳などとの整合性チェック、附属明細書の作成などやるべきことはたくさんあります。しかし、監事監査の前には計算書類等を完成させなければならないのです。詳細は「第9章決算」でご紹介します。
●監事監査
⇒社会福祉法人の役員には監事が少なくとも2名含まれています。理事会提出前に計算書類等は監事によるチェックを受け、監事監査報告書とともに理事会に提出されます。
●理事会
⇒監事によるチェックを受けた計算書類等は理事会で審議され、承認を受ける必要があります。
●評議員会
⇒評議員会は少なくとも年に一度は開催されます。それは法人の最高意思決定機関である評議員会で決算を承認するためです。評議員会で承認された計算書類等をもって、決算が確定します。
●現況報告書の提出
⇒社会福祉法人は、毎会計年度終了後3か月以内に、現況報告書や計算書類等を所轄庁へ届け出る必要があります。
3月決算の法人では、提出期限は原則として6月末です。
現況報告書等の提出には、独立行政法人福祉医療機構の「社会福祉法人の財務諸表等電子開示システム」を利用するのが一般的です。
提出後、現況報告書等の情報はWAM NETで公表されます。
入力内容に誤りがあると、所轄庁から修正を求められることがあります。
決算書、附属明細書、財産目録、役員等名簿、報酬等の支給基準など、提出・公表が必要な書類を早めに確認しておきましょう。
●資産総額の登記
⇒社会福祉法人は、毎事業年度終了後、資産の総額を変更登記する必要があります。資産の総額とは、会計上の純資産額を指します。3月決算の社会福祉法人では、毎年6月末までに資産総額の変更登記を行うのが一般的です。現況報告書の提出と同じ時期に期限が来るため、決算承認後に忘れずに手続きを進めましょう。
しかし、これで終わりではありません。
所轄庁へ報告が終われば、その後、所轄庁からのチェック(実地検査)を受けるのです。
小規模な法人ほど、これらの業務は相対的に負担が大きくなっていることは事実でしょう。
社会福祉法人に詳しい専門家にサポートを依頼したいと思った方は是非、弊社までご連絡ください。専任の職員が日常の経理から決算業務、実地検査の立会いまでサポートする体制を整えてお待ちしております。
まとめ|小規模社会福祉法人ほど、経理体制とスケジュール管理が重要
社会福祉法人の経理では、会計責任者、出納職員、予算管理責任者、固定資産管理責任者など、複数の役割を分けて処理することが求められます。
しかし、小規模法人では、十分な人員を配置できず、施設長や限られた職員が多くの業務を兼務しているケースも少なくありません。
そのような場合でも、現金管理、支払承認、会計入力、月次確認をすべて一人で完結させないよう、できる範囲でチェック体制を整えることが大切です。
また、1月から6月にかけては、年末調整、予算作成、決算、監事監査、理事会、評議員会、現況報告書の提出、資産総額の登記など、重要な業務が集中します。
日常の経理を後回しにすると、決算時に大きな負担となります。
毎月の試算表確認、固定資産台帳や未収金・未払金の整理、証憑書類の保存を日頃から進めておきましょう。
税理士法人YFPクレアでは、社会福祉法人の記帳代行、会計指導、決算業務、現況報告書作成サポート、指導監査対応まで支援しています。
「経理担当者が少ない」「決算や現況報告書の準備が不安」「指導監査で指摘を受けない体制を整えたい」という法人様は、お気軽にご相談ください。
関連ページ
税理士顧問・確定申告のサービスはこちら
コラムの人気TOP3はこちら!
社会福祉法人関連のコラム一覧
投稿者・投稿者チーム紹介
-
社会福祉法人やNPO法人など、特殊会計チーム。
保育園や介護施設などの会計を得意としています。
勉強家が多く、お客様のニーズと法律に真摯に取り組む姿が気に入られ
お客様からの紹介多数!
最新の投稿
- 2023年7月12日社会福祉法人【実際の指摘事項と確認事項】社会福祉法人の指導監査で聞かれたことをまとめてみた!
- 2023年5月2日社会福祉法人【社会福祉法人】監査で聞かれる"責任者"とは
- 2023年4月5日社会福祉法人社会福祉法人の経理において会計事務所がチェックする勘所
- 2023年3月15日社会福祉法人社会福祉法人の事業区分「サービス区分」







